日本養豚学会誌
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鹿児島バークシャー種の血液蛋白型遺伝子構成
田中 一栄山形 勝吉黒澤 弥悦
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1989 年 26 巻 3 号 p. 197-202

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抄録

古くから鹿児島県内で飼養されてきたバークシャー種について, 県畜産試験場が系統造成の基礎豚として地元の農家から集あたものから無作為に50頭の採血を行い, この集団の遺伝子構成を明らかにする目的で, 澱粉ゲル電気泳動法によって血液蛋白・酵素の22遺伝子座位を調査した。このうちPa, Tf, Hp, Am-I, 6PGD, PHI, PGMおよびEsDの8座位で多型が検出され, 他の14座位はすべて monomorphic であった。これら各座位の遺伝子頻度を, 大石ら1)が調査した関東周辺で飼養されていたバークシャー種の集団と比較すると, 鹿児島バークシャー種にはHp1FとHp2遺伝子が認められず, 逆にHp3遺伝子が検出された。また, PaおよびTf座位における遺伝子頻度が若干異なっているが, 両集団の遺伝子構成にはそれほど大きい差はないものと考えられる。他の欧米系豚1, 12-14)との比較では, Pa, Hpおよび6PGD座位の遺伝子頻度に顕著な差がみられ, 特に鹿児島バークシャー種におけるHp1遺伝子の頻度が極めて高く, また, 6PGD座位も著しい多型を示した。なお, 本集団の遺伝的変異性を定量した結果, P poly=0.3636±0.1026, H=0.0980±0.0361であった。

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