日本養豚学会誌
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大型肥育豚の腎脂肪と背脂肪組織における脂肪細胞蓄積の経時的変化
鳥取 勝野口 剛青木 利恵子
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1989 年 26 巻 3 号 p. 232-240

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抄録

豚における脂肪の肥大や増殖の機構を解明するために, 当所生産のLWH種4腹24頭 (雌12頭, 去勢雄12頭) を用い, 月齢 (体重) 毎に背脂肪と腎周囲脂肪を採取して, 脂肪蓄積と脂肪酸組成の推移を検討した。
腎周囲脂肪の形成は1か月齢時 (平均体重7.5kg) ではほとんど見られず, 3か月齢 (平均体重47.1kg) から4か月齢 (平均体重80.4kg) にかけて, 平均脂肪細胞直径が66μmから73μmと著しく増加した。また, 背脂肪細胞の平均直径は豚の成長にともなって大きくなる傾向を示し, 体重7kgから110kgにかけて50μmから70μmへ増加した。腎周囲脂肪では3か月齢時, また, 背脂肪では2か月齢で脂肪細胞直径の分布パターンは一相性を示したが, 4か月齢 (平均体重80.4kg) から6か月齢 (平均体重110.0kg) にかけて, 直径50μm以下の大きさの脂肪細胞がほぼ一定で存在して脂肪細胞直径の分布パターンが二相性を示すようになり, 脂肪蓄積には脂肪細胞容量の肥大と数の増加が関係しているものと考えられた。
豚の成長にともなう平均脂肪細胞直径の分布ピークの大きい方向への移行は, 腎周囲脂肪に較べ背脂肪の方が早かった。
背脂肪厚と各脂肪酸量との間には有意な相関が認められ, 特にリノール酸量は高い負の相関を示した。また, 平均脂肪細胞直径は各脂肪酸量と相関があり, リノール酸量と負, 飽和脂肪酸量と正の相関があった。

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