日本養豚学会誌
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飼料への大豆油添加とその添加時期による豚の皮下脂肪の脂肪酸組成と厚さの変化
入江 正和
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1989 年 26 巻 4 号 p. 247-254

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抄録

飼料への大豆油の添加とその添加時期が豚の皮下脂肪の脂肪酸組成と厚さにどのように影響するかを経時的に検討した。
平均体重81.7kgのデュロック種の肉豚10頭を用い, 飼料給与条件によって次のように3グループに区分けした。I区 (対照区); 4頭, 基礎飼料 (豚産肉能力検定飼料) 6週間給与, II区; 3頭, 基礎飼料2週間給与後, 大豆油5%添加飼料4週間給与, III区; 3頭, 基礎飼料4週間給与後, 大豆油5%添加飼料2週間給与。試験期間中, 2週間毎に腰部皮下脂肪組織の生検を行い, 同時に超音波断層法によって体長1/2部位と腰部の背脂肪厚の測定を行った。脂肪酸組成の分析は生検サンプルを用いて行なった。結果は次のとおりである。
皮下脂肪組織中のC14:0, C16:0, C16:1, C18:0含量はほとんど変化せず, 添加油脂や添加時期には有意に影響されなかった。対照区に比較して, II区, III区は油脂添加飼料給与とともにC18:2, C18:3含量を増し, C18:1含量を減少させた。油脂添加飼料給与後2週間目におけるC18:1, C18:2, C18:3含量の変化は4週間目の変化の約半分であった。それら脂肪酸含量はII区よりもIII区で高まる傾向にあった。多価不飽和脂肪酸は脂肪中に保有されやすい傾向にあったことから, 肥育初期は末期に比べて油脂添加の影響が少し強いようであった。試験期間中, 4部位において皮下脂肪厚は2週間に約1mm増加した。4週間にわたる5%の油脂添加は背脂肪厚を増加させる傾向にあった。皮下脂肪におけるC18:2含量と脂肪厚の相関係数は有意に高かったが, 油脂添加飼料給与とともに低下した。
以上のことから, 4週間の飼料への大豆油5%添加は, 豚の背脂肪厚を増加させる傾向にあり, 皮下脂肪の脂肪酸組成に対しては添加時期による差異を示しながら, 緩徐な影響を及ぼすことがわかった。

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