日本養豚学会誌
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一腹きょうだい数が子豚の発育, 育成豚の産肉, 繁殖能力に及ぼす影響
鈴木 啓一西田 茂氏家 哲福田 智子佐藤 秀俊
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1990 年 27 巻 3 号 p. 153-158

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抄録

一腹きょうだい数の大きさが子豚の発育や系統造成試験での検定成績, 繁殖豚の能力に影響を及ぼすかどうか検討した。系統造成の選抜第1から第6世代までのランドレース種の子豚2216頭の8週齢までの体重と増体量, 育成雄豚291頭と育成雌豚735頭の産肉成績および繁殖豚239頭の繁殖成績を分析に用いた。子豚は2週齢で餌付けを開始し, 5週齢で離乳した。離乳頭数を一腹きょうだい数とし, 7頭未満, 8~9頭, 10~11頭, 12頭以上の4つに区分した。出生時と1, 2, 3, 4, 5および8週齢体重と出生から2週齢, 2週齢から5週齢までの増体量について, きょうだい数7頭未満と12頭以上の間にそれぞれ0.1kg, 0.31kg, 0.58kg, 1.08kg, 1.62kg, 2.04kg, および2.64kgと0.47kgおよび1.47kgの有意な差が認められ, 一腹きょうだい数が多いと発育が劣ることが示された。しかし, 5から8週齢までの増体量に関しては効果は有意でなかった。育成雄, 育成雌豚の8週齢体重と30kg日齢に対し, 一腹きょうだい数の効果は有意だが, 90kg到達日齢, 1日平均増体量, 背脂肪厚, 1平均飼料摂取量, 飼料要求率および選抜指数値, さらに, 雌豚の分娩頭数, 生産頭数に対しては一腹きょうだい数は影響しないことが明らかとなった。これらの結果は, 一腹きょうだい数の豚の発育, 産肉形質に及ぼす影響は日齢が進むに従い減少することを示唆している。

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