日本養豚学会誌
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豚血清生化学成分の測定値におよぼす溶血の影響
押田 敏雄吉川 康弘小林 義浩猪股 智夫田中 享一小西 信一郎
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1991 年 28 巻 3 号 p. 219-224

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抄録

通常に採血した豚血清の溶血の割合と溶血程度が, 血清生化学成分の測定値にどのような影響をおよぼすのかについて検討し, 以下の成績を得た。
1. 溶血程度の内訳
血清の溶血程度は溶血血清色見本 (CSH) により5段階に区分した。
採血した豚74頭分の血清のうち, 非溶血血清 (-) は15検体で20.3%であり, 溶血程度 (±) は29検体で39.2%, 溶血程度 (+) は12検体で16.2%, 溶血程度 (廾) は15検体で20.3%, 溶血程度 (卅) は3検体で4.0%であった。溶血程度 (+) 以上の検体は約4割を占めた。
2. 測定値への影響
1) 溶血程度 (±) では測定値が非溶血血清に比べ, 過大, 過小とならない項目: 総蛋白量, 蛋白分画, BUN, ALP, GOT, GPT, LDH活性値, LDH分画, グルコース, 総コレステロール, トリグリセリド, リン脂質, 鉄, カルシウム, マグネシウムおよび無機リン
2) 溶血程度 (+) より測定値が非溶血血清に比べ, 有意に過小となる項目: LDH1
3) 溶血程度 (廾) より測定値が非溶血血清に比べ, 有意に過大となる項目: LDH活性値, LDH5
4) 溶血程度 (卅) で測定値が非溶血血清に比べ, 有意に過大となる項目: GOT, GPT,β-分画, LDH4
5) 溶血程度 (卅) で測定値が非溶血血清に比べ, 有意に過小となる項目: トリグリセリドおよびリン脂質
6) 溶血程度 (卅) でも測定値が非溶血血清に比べ, 過大, 過小とならない項目: 総蛋白量,β-分画を除く他の分画, A/G比, BUN, ALP, LDH2, LDH3, グルコース, 総コレステロール, 鉄, カルシウム, マグネシウムおよび無機リン

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