日本養豚学会誌
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ランドレース豚の産肉能力の選抜に伴う枝肉形質の変化
鈴木 啓一西田 茂氏家 哲
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1991 年 28 巻 4 号 p. 248-254

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抄録

6世代にわたるランドレース豚の産肉能力の指数選抜にともなう枝肉形質の相関反応と枝肉の脂肪割合, 蛋白質割合と枝肉形質間の遺伝的パラメータの推定を行った。ランドレース種系統造成の選抜第1から6世代まで, 毎世代22から25腹の各腹から1頭ずつ合計141頭の雄豚と, 各世代18から36腹から1頭ずつ合計136頭の去勢雄の成績を分析に供試した。各形質についての世代変化を雄の屠体長, 背腰長IおよびIIの世代に対する回帰係数でみると, それぞれ世代当たり0.315cm (P<0.05), 0.333cm (P<0.05) および0.324cm (P<0.01) と有意に長さが短くなったがロース長には変化が認められなかった。これらの測定値の差から推定した頸椎長, 第1胸椎から第5胸椎までの長さおよび最後腰椎から恥骨端までの長さの世代に対する回帰係数はそれぞれ0.002, -0.280 (P<0.01) および0.011であり,胸椎の前半部分が短くなったことが示唆された。また, 去勢雄でも屠体長 (-0.638, P<0.01), 背腰長I (-0.431, P<0.01) は有意に短くなり,背腰長II (-0.214) も短くなる傾向が認められ, それらの差から得られる頸椎長, 最後腰椎から恥骨までの長さもそれぞれ世代当り0.208cm (P<0.01), 0.216cm (P<0.01) 短くなった。雄豚の生体での背脂肪厚は世代当たり0.044cm薄くなったものの屠体でのカタ, セ, コシおよび平均脂肪厚はほとんど変化がなかった。生体で測定した背脂肪厚は, 枝肉の脂肪割合との相関が遺伝, 表型相関のいずれでも屠体で測定したカタ, セ, コシ, 平均脂肪厚より高い正の値を示した。また, 屠体長, 背腰長 I, II, ロース長などの長さに関する形質, 第5, 6胸椎間と体長1/2部位でのロース断面積と枝肉脂肪割合は負の相関を示した。枝肉蛋白質割合とこれらの形質との間には枝肉脂肪割合との相関と逆の関係が認められた。

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