日本養豚学会誌
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豚舎粉塵の密度, 粒径ならびに落下速度について
岡田 光弘
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1992 年 29 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

粉塵飛散の要因である密度と粒径を測定した。試料は前報のものと同一である。密度は, 容量約50mlのピクノメータを用いて測定した。粒径は, 粉塵の走査型電顕像と長さを表示するマークの双方をノギスで比較計測した。落下速度は, これらの成績と試料採取時の空気の粘性係数と密度をストークスの公式に代入して求めた。結果は次のとおりであった。
(1) 豚舎粉塵の水に対する溶出率は, 平均20.46% (17.12~22.95%) であった。他方, キシレンに対する溶出率は, 水に比べると極めて低く平均1.16% (1.08~1.25%) であった。したがって, 粉塵の比重測定のための媒質としては, 水よりもキシレンのほうが望ましいことが示された。(2) この結果にもとずき, キシレンを用いて豚舎粉塵の密度を測定した。風乾物 (現物) の密度は, 平均1.4374 (1.4308~1.4486) であった。これより水分を減じる計算により求めた乾物の密度は, 平均で風乾物より約0.03大きい1.4677 (1.4618~1.4778) となった。(3) 粉塵の長径と短径の算術平均を粒径とした。平均粒径は, 15.2±3.1μm (2.6~35.45μm) であり, 10μm未満のいわゆる吸入性粉塵は25.7%を占めていた。(4) これらの測定値ならびに空気の密度と粘性係数をストークスの公式に代入し, 粒子径を (X: cm), 落下速度を (Y: cm/sec.) とする式Y=3,509,153.942X2を得た。平均粒径 (15.2μm) をこの式に代入したところ, 落下速度は約8.1cm/sec. と算定された。

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