日本養豚学会誌
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肉豚の生体重70, 108kg時における枝肉比重による枝肉構成成分の推定
吉田 力佐藤 直人
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1993 年 30 巻 3 号 p. 199-206

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抄録

不断給餌で飼育し, 皮剥ぎ法によって屠殺処理した生体重70kgと108kgの豚枝肉構成成分と比重の関係について, LW・D去勢豚29頭, 雌豚31頭を用いて検討した。枝肉構成成分は精密に筋肉, 脂肪, 骨に分離して求め, 比重は空気中重量と市販の浴槽 (70×60×60cm) を用いて測定した水中重量から算出した。枝肉構成成分割合の平均値は体重70kgでは筋肉, 脂肪および骨の割合がそれぞれ56.6, 30.5および12.5%, 108kgでは54.1, 35.0および10.9%であった。比重は体重70kgでは1.04786, 108kgでは1.04136であった。枝肉比重と枝肉構成成分割合の相関係数は, 体重70kgでは筋肉と0.917, 脂肪と-0.932, 骨と0.453であり, 体重108kgではそれぞれ0.929, -0.944, 0.498であった。このことから, 枝肉の筋肉割合と脂肪割合を推定するために比重が有用であることが示され, 各々の体重で枝肉並びに部位毎に比重を用いた推定式を作成した。体重70kgと108kgのデータをプールして比重による推定式が作成可能かどうか検討した結果, 目的とする体重別に作成する必要性が示された。比重算出における空気中重量と水中重量の測定精度が比重から推定される筋肉および脂肪の割合に及ぼす影響を検討した結果, 両者とも1g単位で測定した場合に比較し, 空気中重量を20g単位で, 水中重量を1g単位で測定した場合には, 推定される筋肉および脂肪の割合は約0.02%変動した。また, 空気中重量を1g単位で, 水中重量を5~10g単位で測定した場合には, 推定される筋肉および脂肪の割合は0.1~0.2%変動すると試算され, 水中重量の測定精度を1g単位程度まで高める必要性が示された。

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