日本養豚学会誌
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大ヨークシャー種, バークシャー種およびデュロック種筋肉脂質の脂肪酸組成
山野 裕松岡 昭善古川 徳高橋 強山中 良忠
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1996 年 33 巻 2 号 p. 30-40

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抄録

豚肉脂質の脂肪酸組成を明らかにするために, 大ヨークシャー種, バークシャー種およびデュロック種の胸最長筋, 大腿二頭筋および半膜様筋から抽出した全脂質 (TL) を中性脂質 (NL), リン脂質 (PL), フォスファチジルエタノールアミン (PE) およびフォスファチジルコリン (PC) に分画し, 各画分の脂肪酸組成をキャピラリーカラムガスクロマトグラフィーで分析した。その結果は, 以下のとおりである。
TLの主要な脂肪酸は, C16:0 (22.1~26.7%), C16:1 (2.6~4.1%), C18:0 (9.5~14.5%), cis C18:1 (38.8~45.0%), C18:2 (7.3~11.5%) であった。
NL画分の主要な脂肪酸は, C16:0 (23.2~27.8%), C16:1 (3.1~4.9%), C18:0(9.3~14.9%), cis C18:1 (46.6~50.8%), C18:2 (3.1~6.7%) であった。
PL画分では, 全不飽和脂肪酸が約75%前後を示し, モノ不飽和酸のC18:1が7.0~7.7%, 多価不飽和脂肪酸のC18:2が18.2~21.9%, C20:4が12.6~16.5%, C20:5が2.2~3.2%, C22:5が3.3~4.2%, C22:6が2.9~4.5%を占め, 飽和脂肪酸のC18:0が21.1~23.5%であった。またn-3系列の脂肪酸が約8.9~12.2%, n-6系列の脂肪酸が34.7~38.7%を占めた。
PE画分の脂肪酸組成は, PLと類似した組成を示し, 全不飽和脂肪酸が約74~82%を占め, 不飽和脂肪酸含量が高かった。また, n-3系列の脂肪酸が11.1~15.8%, n-6系列が34.0~37.0%を占めた。
PC画分では, 全不飽和脂肪酸が65%前後を占め, 多価不飽和脂肪酸は, C18:2が20.8~28.4%, C20:4が10.7~16.6%, C20:5, C22:4, C22:5およびC22:6がいずれも1%以上含まれていた。またモノ不飽和脂肪酸のC16:1が4.1~8.1%, C18:1がcisおよび trans 型を合わせて10.3~12.5%含まれていた。n-3系列の脂肪酸含量は, 4.3~5.5%, n-6系列の脂肪酸は, 39.1~45.0%であった。
各品種および各部位における脂肪酸組成は, 類似したパターンを示したが, 量的には, 各脂質画分において, 品種間で有意差の認められた脂肪酸が多かった。

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