日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
飼料と水との同時混合給与が肥育豚の採食速度および採食量に及ぼす影響
宮脇 耕平保科 和夫伊東 正吾
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 34 巻 1 号 p. 1-8

詳細
抄録

ウェットフィーディングが肥育豚の採食速度に及ぼす影響を検討するために, 実際の飼養試験 (実験1) と, 飼料と水の混合割合を変えた5種類の飼料を給与した基礎試験 (実験2) とを実施した。
実験1においては, 従来型不断給餌器で分離給水した対照区に比べ, 自然落下型および飼料切出し型ウェットフィーダーで同時給水した本飼養法では, 採食日量が肥育後期に多くなる傾向にあり, 採食速度は有意 (P<0.01) に速くなった。実験2では, 飼料と水との混合比率 (風乾飼料重量比) を変えたA区 (飼料1: 水0), B区 (1:0.5), C区 (1:1), D区 (1:2) およびE区 (1:3) の5区を設定して, 採食性に及ぼす影響を検討した。採食開始後約10分間の採食量および採食速度 (g/分) は, C, D, E, B, A区の順で, 加水混合により粉状飼料単独給与に比べて, 採食量は多く, 採食速度は速くなり, その差はともに有意 (P<0.01) となった。飼料水分と採食速度との間には体重60kg, 80kgおよび105kg時の測定から求めた2次回帰式は有意で, この回帰式から最も採食速度が速い飼料水分は62~69%であることが推察された。一方, 初回採食時間, 採食中断回数, 平均採食持続時間には, 加水による影響は認められなかった。
以上の結果から, 本飼養法の採食時間の短縮は採食速度が速くなったことに起因し, また採食速度が最も速くなる加水比率は, 飼料1に対し水1.3~1.8と推察された。

著者関連情報
© 日本養豚学会
次の記事
feedback
Top