日本養豚学会誌
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ブタ精子の10℃保存における精漿濃度が精子の運動性に及ぼす影響
田内 静花酒井 幹子山内 伸彦下司 雅也永井 卓橋爪 力桝田 博司
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1999 年 36 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

保存液中への精漿の添加濃度が液状保存ブタ精子の運動性に及ぼす影響について検討した。精液は2頭のランドレース種雄ブタより採取した。遠心分離により精子と精漿を分離後, 精漿を0, 1, 5, 15, 25, 50および75%の割合で Modena に添加し, これらに精子を浮遊させた計7試験区を設定し, 10℃下で保存した。なお, Modena を用いて濃厚部精液を5倍希釈したものを対照区とした。精子の運動性は Motility Analyzer を用いて, 保存1, 7, 14, 21および28日目に解析した。精漿を0, 1および75%添加した区の Motile および Progressiveの値は, 雄ブタA, Bとも, 保存日数の経過につれ対照区の値に対して有意な低下を示した (P<0.05)。これに対し, 5~25%添加した区においては全保存期間を通して有意な変化は認められなかった。
以上の結果から, 保存液中への精漿の添加は保存精子の運動性保持に有効であるが, その濃度範囲は5~25%であることが示された。また, 常法通りに濃厚部精液を3~5倍希釈した場合その精漿濃度は有効範囲内にあることが確認された。

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