授乳中の母豚の周期的な鳴き声は, 新生子豚の吸乳行動を誘発することが知られている。また, 新生子豚は母豚の音声を認識する能力があると考えられる。本研究ではランドレース種の母豚を用いて, 授乳中の周期的な鳴き声の特性を時間間隔, 音声の発音時間, さらにスペクトル分析, ホルマント周波数分布などから比較, 検討を行った。その結果, 授乳中の音声の発音間隔は凹型の傾向を示した。一回の音声の発音時間は100msecから200msecの範囲内で, 各個体の発音時間はほぼ一定であった。また, 授乳中の音声を初期, 中期, 終期に分割し, その期間の音声のスペクトル分析を行った。スペクトル変動は初期, 中期, 終期ともほぼ同様な傾向を示した。授乳時の音声は, 第一ホルマントは450Hzから700Hzの範囲内であり, 第二ホルマントは1,000Hzから4,000Hzの範囲内の分布を示した。