日本養豚学会誌
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超音波画像診断によるミニチュアブタの卵巣の観察および早期妊娠診断
田中 敦士倉持 浩村上 泰己門司 恭典桑山 岳人百目鬼 郁男
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2000 年 37 巻 2 号 p. 50-55

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抄録

医学領域において前立腺検査用に開発された棒状の超音波プローブを利用して, 2頭のミニチュアブタ (CSK×クラウン系1頭, ゲッチンゲン系1頭) の発情周期中における卵巣の超音波画像診断を実施した。また1頭のゲッチンゲン系ミニチュアブタについて体表からの超音波画像による早期妊娠診断およびその後の胎子の観察も試みた。
発情発現日における卵巣の超音波画像は, 直径5~8mmのエコーフリーの部位が多く示され, 卵巣に多数の卵胞が存在することが確認された。しかし発情2日目にはエコーフリーの部位は少なくなり, 排卵が確認された。黄体期には直径5mm程度のエコーフリー部位の周りにややエコーレベルの低い層が認められ, この像は黄体であると考えられた。早期妊娠診断においては, 交配後20日目に直径20mmの胎嚢が確認され, 26日目には胎嚢の内部に胎子の存在も認められた。胎子像には交配後47日目に骨格および心拍が認められ, 体長は53日目に50mm, 100日目に100mmを超えることが観察された。以上のことより, ミニチュアブタにおいて超音波診断を実施することで, 発情周期中の卵巣および胎子像の観察は可能であり, ミニチュアブタの繁殖領域における利用がさらに広がるものと思われた。

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