1957 年 15 巻 8 号 p. 402-404
従来フェナントラキノンの合成法としては, 氷酢-無水クロム酸法や硫酸-重クロム酸塩法など文献も多いが, 原料フェナントレンの品位や合成条件が明らかでない場合が多く, 酸化剤の量もかなり多すぎて, フェナントラキノンの収率は50%程度とされている。われわれは原料として工業試製品5種とMerckのフェナントレンを用い, 両法を詳しく検討して酸化条件を改良し, 原料中のフェナントレンに対しておよそ75-80%の対理論収率で純フェナントラキノンが得られることを明らかにした。