1969 年 27 巻 3 号 p. 264-268
トリエチルアルミニウムとアルデヒドとの反応においては, アルデヒドとトリエチルアルミニウムとのモル比によっていちじるしく反応様式が異なることを見いだした。すなわち, モル比が1の場合にはグリニャール反応とほぼ同様な反応によって第2アルコールが得られるが, モル比が増加するにしたがって, アルデヒドの二量化によるエステル生成が主反応となり, かつ, この反応がトリエチルアルミニウムのal-H結合が触媒となって進行するものであることを証明した。また, 従来アルコラートの接触反応と考えられていたTischenko反応も上記反応と同様, 実際には金属-水素結合が触媒となっていることを明らかにした。