有機合成化学協会誌
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ο-, m-アニシジンよりカテコール-およびレゾルシン-ジメチルエーテルの合成
「ジアゾニウム化合物の光分解」第2報
蔵本 暢浩若江 匡夫
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1972 年 30 巻 2 号 p. 160-166

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抄録

前報において, p-アニシジンをジアゾ化して得られるp-アニソールジアゾニウム塩をメタノール中で加熱分解して, ヒドロキノンジメチルエーテルを合成する際の条件について検討した結果を報告した。
今回は, ο-およびm-アニシジンを出発原料として, p-アニシジンの場合と同様にジアゾ化, 分解の工程を経てカテコールジメチルエーテル (1), レゾルシンジメチルエーテル (2) を合成することを試み, (1) および (2) を好収率で得る条件について検討した。
ο-体ジアゾニウム塩を, 紫外線を照射せず加熱だけで分解すると, 塩酸々性および硫酸々性下においても, 生成物はアニソールのみで, 目的物 (1) は得られなかった。しかし, 紫外線照射下で分解すると, (1) およびカテコールモノメチルエーテルの生成が認められ, またジアゾニウム塩の分解が促進された。
硫酸銅, 硫酸マンガン, ベンゼンスルホン酸等を触媒として添加し, 紫外線照射および無照射下で分解したが分解生成物およびその収率は無触媒の場合と大差なく, 触媒の効果は認められなかった。
分解温度は40℃の場合が65℃ (沸騰温度) の場合より良好な結果が得られ, また分解液の硫酸濃度はpH=1で (1) の収率が最も高かった。m-体ジアゾニウム塩を塩酸々性下で分解すると (2) の他に少量のアニソール, m-クロルアニソールおよびレゾルシンモノメチルエーテルが副生した。硫酸々性では, 当然ではあるがクロルアニソールの副生がなく, (2) の収率も塩酸々性の場合より良好であった。紫外線き照射下で分解すると, 無照射の場合に比して (2) およびモノメチルエーテルの生成量が増加した。
硫酸々性, 酸の濃度pH=1, 無触媒, 分解温度65℃, 紫外線照射の条件で分解したとき, (2) が最高の収率64.7%で得られた。

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