有機合成化学協会誌
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ルテニウムヒドリド錯体
有効な二重結合移動反応触媒
鈴木 寛治諸岡 良彦
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1981 年 39 巻 12 号 p. 1222-1227

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抄録

炭素-炭素不飽和結合の位置を移す異性化反応は酸, 塩基, 遷移金属錯体などを触媒として数多く研究されており, それぞれの触媒系の特長, 適用限界が明らかにされている。このうち, 遷移金属の塩または錯体は, ほぼ中性の条件下で反応を進行させることができるため副反応を起こしにくいという特長があり, 種々の官能基をもつ不飽和化合物の異性化には好都合である。最近, 著者らは二重結合移動反応を積極的に有機合成に役立てるという意図で研究を進めており, ルテニウムヒドリド錯体が, 安価でかっ簡便に利用できる有効な触媒であることを見出した。ここではその調製法, 性質, 反応基質に対する適用限界を含め, 適用例を紹介したい。

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