有機合成化学協会誌
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半導体を光触媒とする化学反応
菅野 龍也櫻木 宏親
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1981 年 39 巻 9 号 p. 776-783

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抄録

半導体という言葉からは集積回路などに利用される特殊な素材を想像しがちであるが, 普段, 触媒として用いられている金属酸化物の多くが半導体であると言っても過言ではない。ただし, その禁止帯幅 (Band gap, Eg) が小さければ熱的に励起されて触媒作用を示し, それが大きければ光によって励起されて触媒作用を示す。
半導体 (Semiconductor, SC) を用いた光触媒反応はBauerらが, 水溶液中に懸濁させた酸化亜鉛 (ZnO) 粉末を光照射した際に, 溶存酸素が還元されて過酸化水素が生成することを見出して以来, 研究の対象となってきた。しかしながら, 半導体に対する物理学的な取り扱いが確立していなかったなどの理由から, その研究はそれほど発展しなかった。しかるに近年, 半導体電子論が確立されるにおよび, 半導体と溶液との界面状態について電気化学的な取り扱い (Energetics) ができるようになったことなどから, 多くの分野で再び活発な研究が行われるようになった。さらに最近では, 半導体が太陽エネルギーの有効利用という観点からも注目を集め, 特に二酸化チタン (TiO2) 電極を用いた水の光電解により水素が生成すること (本多-藤嶋効果) が報告されてからは, 光電極反応の研究が盛んになってきた。
そこで, 有機光化学的な立揚から半導体の電子的性質とそれの関与する化学反応について最近の研究を中心に紹介したい。そのような理由から, 半導体が関与する光反応をすべて網羅したものではないことを最初にお断りしておきたい。

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