有機合成化学協会誌
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ジアゾジフェニルメタン
平山 吉彦河野 之伴
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1992 年 50 巻 1 号 p. 71-73

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抄録

この薬品はIUPAC命名法ではジアゾジフェニルメタン, CA索引名ではベンゼン, 1, 1'- (ジアゾメチレン) ビス-, 慣用名ではジフェニルジアゾメタン (以下DDMと略す) である。DDMは1965年にペプチドのカルボキシル基部位の保護基として有用であることが知られた。その後, 1971年, メルク社によって抗生物質の製法に用いられたが, 自己分解性のために窒素を放出し, 又爆発性化合物特有の原子団を持つために工業的に広く使用されるには至らなかった。1981年, 筆者らは労働省産業安全研究所, および工業技術院化学技術研究所に危険性評価試験を依頼して得た知見に基づき製造方法, 結晶として取り出す方法, 貯蔵, 運搬, 取り扱い方法を確立した。今では98.0%以上の高純度品を工業的規模で製造している。

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