有機合成化学協会誌
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(4GlIcAβl-3GalNAc (6S) βl) n (コンドロイチン-6-硫酸)
栃澤 馨
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2003 年 61 巻 3 号 p. 246-248

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抄録

動物軟骨には標題化合物, 4GIcAβ1-3GalNAc (6S) β1のポリマー (以下, コンドロイチン-6-硫酸) をはじめとした, ムコ多糖類と総称される粘性物質群が含まれている.
コンドロイチン-6-硫酸は生体内において, 組織タンパク質のSer残基に4GlcAβ1-3Ga1β1-3Galβ1-4Xylβ1のリンカー構造を介して結合した形態で存在している (図1).広義で「コンドロイチン硫酸」と称される物質は, GlcAとGalNAcを構成単位として, これが直鎖状, あるいは分鎖状にポリマーを構成している物質群を指し, GalNAcに結合している硫酸基の位置が異なる3種のサブタイプがある (コンドロイチン-4-硫酸 (もしくはコンドロイチン硫酸A) 1, コンドロイチン-6-硫酸 (もしくはコンドロイチン硫酸C) 2, およびコンドロイチン-6-硫酸の構成糖であるGlcAの2, もしくは3位にも硫酸基が結合している, 通称コンドロイチン硫酸D3, 図2)
コンドロイチン硫酸は関節の弾性・円滑性保持, 皮膚への保湿性付与, 骨成長, 老化による眼球・角膜の混濁防止等多岐に及ぶ生理作用を持ち, 頭痛, 神経痛, 関節痛, 五十肩, 眼疾患など様々な病気に効果があると言われている.コンドロイチン硫酸は本来, 生体内で合成される物質であるが, 老化とともにその合成量は低下する.このため, 軟骨が存在する膝, 肘, 肩等関節への加齢に伴うコンドロイチン硫酸供給量の不足によって関節の円滑性が損なわれることが腰痛, 関節痛等の一因となりうる.

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