有機合成化学協会誌
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改良デヴァルダ法による窒素定量法
村上 恭平
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1950 年 8 巻 6 号 p. a31-a34

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抄録

硝酸繊維素の工業的窒素定量には專らルンゲ法が用ひられているが, この方法には硝酸繊維素の硫酸による分解機構が硫酸の濃度, 試料との量比, 温度, 振盪囘數等によりて相違し, 分解により發生する酸化窒素ガスにCO, CO2, N2O, N2, SO2, 其他の不純ガスの混在, 或は酸化窒素ガスの硫酸濃度, 量及び温度の相違による吸收差違等, 幾多の測定誤差を生ずる因子を有してゐる。特に低硝化度のものには誤差を生じ易く, 精密な定量法としては各種の缺點を有してゐる。著者は之に代る定量法としてデヴァルダ法の装置及操作方法を改良し, 純硝石を試料として定量諸條件を確立し, 如何なる硝化度の硝酸繊維素に於ても, 信頼し得る窒素定量法を得た。即ちデヴァルダ・フラスコ, スクラバー, アンモニア吸收管及び加熱方法等を改良し, 硝酸繊維素の鹸化劑に50%KOHと30%H2O2を用ひ, 還元劑には30%NaOH, 及びデヴァルダ合金 (Cu50%, Al45%及びZn5%の合金) を使用し, 20~30℃の室温で20~25min還元し, 生成アンモニアを60~70℃, 100~130mmHgにて30min精製空氣を用いて驅逐する事によつて, 常に正確に窒素定量を行い得る事を確めた。なおこの改良デヴァルダ法と, 硫酸の濃度, 量, 温度及び處理時間, 其他NOガスHNO3等の散逸を補正したルンゲ法とによりて, 硝酸繊維素の窒素定量を行ひ, その結果を比較し, 簡單なる操作にて個人誤差を生ぜず, 精密な定量の可能な改良デヴァルダ法の優れている事を明かにした。

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