抄録
中心星近傍を公転する巨大惑星の起源を議論する上で,惑星軌道の傾き(軌道傾斜角)は重要な情報となる.巨大惑星を中心星近傍に移動させるプロセスは様々であるが,プロセスごとに異なる惑星の軌道傾斜角を予言するためである.本稿では,KOI-94(Kepler-89とも呼ばれる)という複数のトランジット惑星を持つ系に着目し,ロシター効果と呼ばれる現象を使って惑星の軌道傾斜角を制限する手法を紹介する.KOI-94に注目した過程で偶然発見した惑星同士の食についても触れ,その解析とロシター効果の観測を組み合わせる事でKOI-94系では太陽系同様に複数の惑星がほぼ同じ面内を公転し,さらにその公転面は中心星の自転軸にほぼ直交している事を示す.最後に,KOI-94を含む惑星系の軌道傾斜角の最新の観測から見えて来た惑星系の進化への示唆を述べる.