日本惑星科学会誌遊星人
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エポックメイキングな隕石たち(その10):  ~Y-81020~極めて始原的な日本の南極産隕石~
小松 睦美
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2016 年 25 巻 4 号 p. 149-154

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抄録

始原的隕石の中でも炭素質コンドライトは化学的に未分化であり,太陽系生成期の情報を最も保存する物質であると考えられている.しかしながら,殆どの炭素質コンドライトは,星雲内での形成環境と微惑星集積後の反応(二次変成)に関する情報を併せ持つため,この二つを切り分けることが炭素質コンドライト隕石の辿った歴史を正しく解釈する上での重要な課題となっている.岩石学タイプ3.0の隕石は,「極めて始原的な隕石」と呼ばれ,母天体での二次変成の影響が極めて小さく,太陽系生成初期の微惑星集積時の状態を保存していると考えられている.国立極地研究所が所有するYamato(Y)-81020は,極めて始原的な特徴を持つ数少ないCO3.0コンドライトの一つであり,特に日本の研究者により多くの重要な成果が発表されてきた.

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© 2016 日本惑星科学会
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