2019 年 28 巻 4 号 p. 295-304
多くの原始惑星系円盤のガスとダストが異なる空間分布を持つことがアルマ望遠鏡によって明らかにされた.本研究は,一つのケーススタディとして若い星HD 142527に付随する原始惑星系円盤のガスとダストの質量比,ガス・ダスト比の空間分布を明らかにする.本稿の最初ではまず,若い星HD 142527に付随する原始惑星系円盤のアルマ望遠鏡の観測結果を紹介する.対象は98.5 GHzと336 GHzのダスト連続波放射と,13COとC18Oの回転遷移J=1-0とJ=3-2の輝線放射である.次に,これらの観測結果を用いて,局所熱力学平衡を仮定してガス面密度とダスト面密度を導出する.本研究で初めて,ガス・ダスト比は円盤の方位角方向に緩やかに変化することと,ガス面密度とダスト面密度との相関関係が見つかった.本稿の内容はSoon et al.(2019)[1]に基づく.