日本惑星科学会誌遊星人
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特集「AMLAで迫る惑星科学」
ぎょしゃ座SU星に付随する原始惑星系円盤の活動的相互作用
秋山 永治
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2019 年 28 巻 4 号 p. 305-312

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抄録

 これまでぎょしゃ座SU星の描像が不明であったが,今回のアルマ望遠鏡による観測で原始惑星系円盤に長さ1000 au以上の尾構造が付随することが確認された.幾何学的な構造に加え速度構造を調べた結果,円盤と尾構造は物理的に接続し一つの系を形成していることが判明した.さらに,原始惑星系円盤と尾構造で構成される系の起源について数値流体シミュレーションで調査したところ,(1)他天体との衝突,(2)周囲の分子雲によるガス流との相互作用,(3)重力不安定による天体放出,のシナリオで観測結果を再現することができ,現段階では褐色矮星程度の質量を持つ天体との衝突または円盤へのガス塊の降着が最も妥当な説明となっている.今後,広視野観測やSiO輝線をはじめとするショックトレーサーを用いた観測で衝突に関する観測的証拠を積み上げ,衝突後の原始惑星系円盤の進化と惑星形成が可能な環境が再構築されるのか調査していく予定である.

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© 2019 日本惑星科学会
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