2022 年 31 巻 1 号 p. 18-30
始原的な隕石に含まれるコンドリュールと呼ばれる粒径物質がある.この形成には初期太陽系星 雲内での瞬間的な加熱現象が必須である.これとは異なる加熱現象が同時期に存在した小天体,微惑星内部では長期間に渡って続く.本稿では初期太陽系内の二つの加熱現象に関するこれまでの研究を簡単に紹介することを試みた.微惑星の熱進化にはその形成年代が非常に重要である一方で,コンドリュールを形成するような加熱現象には微惑星が関わる説が主流となりつつある.コンドリュールを含んだ微惑星の進化過程の解明には,小惑星からのリターンサンプルの分析やより幅広い視点を取り込んだ研究が望まれる.