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原稿種別: 表紙
2013 年 34 巻 p.
Cover1-
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
App1-
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
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原稿種別: 目次
2013 年 34 巻 p.
i-iv
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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相田 隆司
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
1-14
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本論の目的は,図画工作専科教員の題材づくりの様相を明らかにするために実施した質問紙調査の結果と考察を示すところにある。本論はその結果から,教師の題材づくりにおける実践的な様相として,子どもの実態を常に把握しながら対応しようとする姿を抽出できると考える。教師は子どもの実態を把握しながらそれに合わせ,情報収集し見通しを持ちながら題材を作り上げるという専門性を内在させ発揮していると考える。
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新井 哲夫, 金井 則夫
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
15-31
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本研究は,図画工作・美術を指導する教師に求められる専門的力量について検討するものである。本稿はその第1報として,教師の専門的力量をめぐる議論を,文献調査をもとに主要な論点に整理した。その上で,先行研究の成果をもとに,図画工作・美術科教育に求められる専門的力量をテクニカル・スキルの視点から検討し,「教科に関する知識」「教科内容に関する知識及び技術」「教科内容の教材化に関する知識及び技能」「授業実践力」「子どもの成長発達に対する理解」「子どもを個に応じて理解する能力」「子どもを集団として把握する能力」「授業改善力」「同僚との協働を通して専門的力量の向上を図る力」の9つの要素に整理した。
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有田 洋子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
33-47
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本稿は仏像様式のキャッチフレーズ(以下C.P.と略記)化を事例に,美術作品の諸様式を言語化して理解させる鑑賞教育方法の教育的可能性を証明した。1.基礎的考察で,美術教育における鑑賞は様式の感受理解であること,様式のC.P.は感情の言葉と像の言葉になることを指摘した。仏像の様式感情の分析にSD法を用いた。その結果,小学生から専門家まで,仏像7様式に似た感情を持つことを確認した。美術史記述における感情語使用の増加傾向も指摘した。2.C.P.による鑑賞授業を小中学校で実践し,様式の理解と楽しさの両面で,その教育的可能性を実証した。学年が上がるにつれて外的形式が判断基準に入ってくること,それの様式判断への総合が課題であることを確認した。児童生徒によるC.P.作成には語彙不足が障壁であることとシソーラスの必要を確認した。
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安東 恭一郎
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
49-60
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本稿は,美術教師が授業の過程で用いる美術資料を対象とし,資料の作成と利用において,著作権法上何が問題となり,どのような課題があるのかを検討することとした。また,特に現代的課題としてWeb環境下における美術著作物の利用について,その現状と課題を検討することとした。そのため,著作権法35条下および,パブリックドメインの利用時などにおける美術資料の扱いを検討した。その結果,それらの場面では一般的資料とは異なり,美術著作物独自の扱いの難しさと,Web環境に対応した対策が必要であることが明らかとなった。さらに,現在進行しつつあるWebを介した著作物管理は,著作権法と個別契約のダブルスタンダードを形成するに至っており,著作権を巡る状況は,新たな局面を迎えていることが明らかとなった。
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池田 吏志
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
61-73
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本研究の目的は,重度・重複障害児の造形活動における児童生徒と教員との関わりを,理論的モデルで示すことである。そのために,本研究では特別支援学校の重複学級をフィールドとして,エスノメソドロジーの手法を用いた質的研究を行った。研究の結果,児童生徒と教員との関わりは,質的研究によって生成された「材料・用具を介した支援」,「コミュニケーション」,「心的環境づくり」,の3つのカテゴリーによる理論的モデルとして提示することができた。
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上西 知子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
75-90
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本稿は,コラージュ画制作後の語りをテキストとする制作経験調査結果の分析から,美術教育における表現(制作)と自己作品の鑑賞(受容)の連動と,対話のプロセスの中に抱え込まれる他者性に着目して,制作から自己理解へと導かれるプロセスを明らかにする。制作において制作行為は他者性を抱えた内的手本との対話的やりとりを行い,受容においては他者の視点を持った語り手による創造的解釈が行われる。制作と受容を繋げることは,この両者の活動を一連のものとして繋げることである。それは,子どもの私意識の形成過程にルーツを持つ他者性を,自己の中に取り込んではズレや隙間を自覚し,それを埋めるために想起される感情や欲望を伴う記憶や直観や予想を意識することで,私の過去,現在,未来に向き合い,自己理解へ繋がるというプロセスを作るのである。
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上山 浩
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
91-106
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本研究は,美術教育における3Dアニメーション制作教材の一般化をめざした一連の基礎研究の一部である。本研究に至る一連の研究において,3DCG表現の教育内容としての重要性,指導の困難さ,それを克服する指導法として特に協同学習の機能を活かした学習支援システム等を示した。本研究は,それらに続くもので,これまでに開発した指導法により学級規模に近い学習者を対象にした実験的な教育活動を行い,その実効性を検討した。その結果,特にコンピュータを用いる表現活動の指導に解決が必要とされる特徴的な課題として,学習グループの状況の確実な把握,基本的な学習課題における操作ミスへの対応,システム上のトラブルに確実に対処するバックアップシステムの準備等が残された。
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大泉 義一
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
107-120
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する継続研究である。中学校美術科の授業実践に見られる教師の発話から,これまでの研究で得た知見である「第3教育言語」の役割について精査を行っている。その結果,浮かび上がってきたのは,「第3教育言語」が「周辺言語」や「沈黙」による教師の感情表出の役割を担うことで,「第1教育言語」による指示的内容を子どもが受容する土壌を形成している可能性である。さらに対象授業に特有な発話である「皮肉・irony」が,子どもの主体性の発揮を促す役割を持つことを明らかにしている。そしてこうした発話の様態から,発話者である教師の教育信念を浮き彫りにし,その実践からは,ボルノウの「教育的雰囲気」を具現化する姿としての仮説的な美術教師像を提示している。
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片岡 杏子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
121-132
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本論では,子どもと大人の関係における感情の相互作用と対話のリアリティに焦点をあて,子どもが表現するプロセスにおいて大人がはたす役割を検討する。子どもの感情表現は「他者と関係するためのシステム」であり,子どもは大人との感情的な関わり合いを通して,基本的信頼にもとづく自他関係を形成する。とくに子どもが造形表現を行う場面では,大人は対話を通して子どもの表象を浮かび上がらせ,表現の組織化を助ける役割をはたす。ただしそれには,人的モデルやネガティヴな感情に囚われ過ぎない主体的態度が必要とされる。本論はこれを子どもと大人の対話のエピソードにもとづいて検討し,さらに人間特有の感情のしくみを脳の階層論を参照して説明しながら,表現の相互作用の方向付けとなる大人の感情の働きの分類を仮説として提示した。
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北野 諒
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
133-145
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本稿は,対話型鑑賞における美学的背景についての考察を経由して,芸術をめぐる学びとコミュニケーションの様態を再検討することを目的としている。具体的には,「開かれた作品」「(敵対と)関係性の美学」といった美学理論の解題から,「半開き性」という鍵概念-芸術/学び/コミュニケーションの基礎的条件をなす弁証法的運動-を抽出し,分析を展開していく。行論のすえ,本稿はふたつの可能性(暫定的な結論と仮説の提議)にいたるだろう。ひとつは,「半開き性」を,対話型鑑賞の学びの場面へ実際的に応用する「半開きの対話」の可能性(暫定的な結論)。もうひとつは,「半開きの対話」を楔に,コミュニケーションをメディウムとした現代アートの作品群と芸術教育の実践群とを接着し,新たな芸術教育パラダイムのコンセプト・モデルとして胚胎させる可能性(仮説の提議)である。
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清田 哲男
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
147-159
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本研究は,総合学科高校において「鏡遊び」による教育実践をもとに,生徒の空間認識と課題意識の相関性を考察するものである。「鏡遊び」は大きく二つの空間認識に沿って,八つの型に分類できる。さらにリチャード・グレゴリーの四種類の錯覚現象に照らし合わせることで,それらの八つの型と空間認識との相関構造が明確になった。また,「鏡遊び」から発展した作品に見られる生徒の自己課題についても,空間認識との一定の相関関係が確認された。
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桐田 敬介
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
161-175
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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本稿は現象学的思考法を用いてカント哲学から感性を起点とする「認識モデル」を抽出し構造化することにより,原則あらゆる教員が,「感性を働かせながら」という教科目標を共通了解し合える「内的視点」を構築することを試みた。結果,【能力相関的-表象図式】を構築し,上記の文言を「子どもたちが自身の感官に応じて多様な<現象>を受け容れながら」という狭義の感性と「子どもたちが事物への臆見を<現象>によって取り除き,自分なりに対象の経験の可能性を拡大しながら」という広義の感性の働きとに解釈できることが明らかになった。
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栗山 誠
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
177-189
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本研究は,図式期の子どもの叙述的描画表現の過程において,「動きのイメージ」がどのように現われているのかを明らかにすることを目的とし,「描画プロセス分析シート」の使用により,視覚的文脈と物語的文脈との関連から考察した。その結果,以下のことが明らかになった。(1)叙述的表現において,いつも描いていた概念的な図式は文脈に沿った形で柔軟に変化する可能性がある。(2)図式から感情や体験が想起され動きのイメージを誘発することがある。(3)図式期においても,叙述的表現過程では身振りのような癒着した表現系があらわれるが,それが描画表現に移行するまでに3つの段階がある。(4)時間の経過は,単一画面に人物の複数登場や,背景を描き加えるなどの変化により表わされることもある。また画面構成の最終段階には,描画過程での時間の経過はリセットされることが多く,新たな物語に更新される可能性がある。
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小口 あや
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
191-203
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
小学校3年生の児童の鑑賞行為を観察すると,作品を二つの視点で鑑賞していることがわかった。作品の内に置く視点と外に置く視点である。本研究は,この事実から児童の鑑賞行為に対する本質的認識を得られる可能性を求めた。漫画論や視点論を踏まえて,内の視点で得られる児童のコメントは感情移入的であり,外の視点で得られるコメントは批評的であると判断できた。意図的に作品の内外にコメントを書き分けさせる鑑賞実践でも,二種のコメントが得られた。実践から前者は他人と共有しにくく,後者は他人と共有されやすいこともわかった。児童は内の視点の方に興味を持っていたが,成長に伴って興味が外に向かっていくものと推測される。
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佐々木 宰
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
205-216
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
シンガポールでは,2009年に初等学校美術の新しいシラバスが実施された。新しい教科書もこれに対応して刊行されている。従前のシラバスは2002年実施であるから,今次の改訂までの期間は短い。新シラバスは,この間の教育改革における一連の施策を反映しているといえる。2005年前後からのTeach Less, Learn Moreを基本とする教育改革の方針や,2009年の初等教育レビュー・実施委員会の答申内容は,新シラバス及び新教科書に示された美術教育の目標や内容に符合するものであった。知識偏重を改め,技術や価値観との均衡を図るカリキュラム改革では,美術教育は,美術を多様な文脈で意味づける技術や価値観の育成を標榜する学習として解釈されていた。
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志藤 浩仁
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
217-229
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
中学校美術科教員と美術館学芸員との人的ネットワーク(学校と社会教育施設の連携・社会的相互作用)による中学校美術科の授業の可能性を探った。学校と美術館の連携について先行事例をもとにそれらの現状と課題を整理し,中学校美術科と美術館が連携した授業のあり方について研究の方向性を見い出した。その上で教員が主導権を持ち,学芸員が持つ強みを活かした題材を開発・実践し,検証した。その結果,学校と美術館の人的ネットワーク(教員と学芸員)を活用,補完し合うことで,教員又は学芸員だけでは実現しなかった題材が可能となり,美術の授業に広がりが生まれる可能性があることが分かった。
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島田 由紀子, 大神 優子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
231-242
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本調査の目的は,子どもが形からどのような連想を行うかを,描画力の制限がない条件下で明らかにすることである。4・5歳児クラスの男女計76名を対象に,線画で図形(三角・丸・四角)を提示し,口頭で図形からの連想を尋ねる個別面接調査を行った。得られた連想語について,(1)連想得点,(2)連想内容(生物・食べ物・自然・人工物・その他の5カテゴリ),(3)最初の連想までの反応時間及び内容の三つの観点で,年齢・性別・課題による差を検討した。その結果,年齢・性別にかかわらず,丸が,三角・四角と比べ,短時間で多様な連想をしやすいことが示された。図形の認識の発達・保育環境から考察し,ものの形の特徴を知ることが,創造的な造形活動につながる契機に成り得ることを指摘した。
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島田 佳枝
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
243-259
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本研究は,前論文において明らかになった子どもの主体としての育ちを支える<共感的なかかわり>の意義を,「子どもの育ちを支援しようとする大人たちにとって」という視点から再考しようとするものである。2組の親子が参加するごく小規模な子育てサークルにおける造形的な遊び場づくりのプロセスを,親たちの関係性の変容という観点から考察し,<共感的なかかわり>に基づいた造形的な遊び場づくりが,大人(親)たちの間に協働を通した学び合いの場をひらきうることを明らかにした。そして,他者及びもの(造形素材)に未知性を感受=発見し,これを探求しようとする「わからないけど,わかりたい」という姿勢が,「わかりたい未知性」を孕んだ自己自身との対話の場をもひらき得るという意味で重要であると結論づけた。
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杉本 覚, 岡田 猛
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
261-275
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
近年,美術館においてワークショップという形態の教育普及活動が頻繁に行われるようになってきている。しかし,ワークショップの実践家の数はまだ少なく,その育成が喫緊の課題として挙げられている。この課題を解決するためには,まずはファシリテーターの熟達過程を調査し,その実証的なデータに基づいた教育プログラムを作成する必要があるだろう。そこで本研究では,実際のワークショップにおいてスタッフの活動の様子を参与的に観察するとともに,参加したスタッフに質問紙を実施して,その回答やミーティングでのやり取りをもとに学習や認識の変化を分類し,ワークショップ内の活動との対応を検討した。その結果,スタッフの学習として「ファシリテーションに関する学習」「ワークショップ自体に対する認識の変化」「作品との関わり方に対する認識の変化」「日常の自身の姿勢に対する認識の変化」の4つのカテゴリが見出された。
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鈴木 淳子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
277-290
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本稿は,ヘーゲル,フッサール,デューイの経験概念から美術教育における造形表現活動の制作過程を「経験の再構成」と捉え,人間形成につながるその特質を考察したものである。造形表現活動における「経験の再構成」の過程は,「経験のサイクル」として「想起」,「選択」,「活用」,「統合」,「自覚化」の各段階に構造化することができる。内省的思考の累積的な継続によって経験を高次の段階に移行する造形表現活動を目指し,「経験のサイクル」の考え方を用いた指導法を提案する。
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鈴木 幹雄
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
291-305
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本稿では,先行研究を視野に入れ,シュトゥットガルト芸術アカデミーでヘルツェル教授の下に学び,パリ留学後,フランクフルト芸術学校,並びにシュトゥットガルト芸術アカデミー教授となったW・バウマイスター(1889-1955)の芸術教育と芸術教育観について研究した。同研究を通して,ナチズム崩壊後バウマイスターによってシュトゥットガルト芸術アカデミーの改革提案が提出された時どのような造形芸術観が構想されていたか,この点が解明された((1)同改革案の基底には,感動,探求といった成長世代の内面世界・社会的・人間的価値の世界を起点とした思想が提出されていた事,(2)また次のような造形芸術上のエートスが主張された事(ダルムシュタット対話(1950))。寛容,自由な創造,現代のユマニテ,モダン・アート,様々な社会的価値,感受性等,現代の民主主義社会の下での芸術意識とそのパースペクティヴ)。
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高橋 文子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
307-318
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
中学生の美術科学習におけるよりよい「表現主題の言葉」「作品感受の言葉」獲得を目的として,五七調フレーズを用いてそれらを記述する指導を行った。短歌や俳句と規定せず,五音,七音の音律に乗せたフレーズとして提案した。それらの獲得を複数の実践から考察した。五七調フレーズは,従来の二語ほどの単語の組合せで表記していた表現主題記述に比べ,作者の内面の感情像を的確に示すことが可能であった。又,作品鑑賞においても,五七調フレーズが即物的記述から説話的解釈,本質的直感に至る感受レベルを示し,作品感受の言葉として適切であった。五七調の言葉による表現主題及び鑑賞の感受の記述は,限られた音にもかかわらず豊かな味わいを共有できる手軽なツールとして,教育活動に有効であることを実証した。
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立川 泰史
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
319-330
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本稿は,日常経験する身体的な感覚とイメージ生成過程の関連に着目し,図画工作科における実践的な考察から表現学習の新たな可能性を探ろうとするものである。ここでは,言葉から想起する「感覚経験」の理解や変容,および表現に向かうイメージとの関連を中心に考察した。その結果,イメージの生成過程には,日常の身体的な感覚経験が具体的にかかわっていること,また,多義的・多元的な創造的思考の拡張の契機として働きかけるという感覚経験の特性を,実践的に活用する意義と可能性などが明らかになった。
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立原 慶一
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
331-346
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
美的特性感受法とは表現の内容・方法の特徴を把握するに際して,教育的な方向づけがなされたワークシートに取り組ませることによって,美的特性の感受を意図的に促す手法である。今回,それを採用することで造形的特徴から感受されるべき多様な美的特性,それらを色分けるマイナスとプラスの価値感情が鑑賞体験の主要な契機となって,ワン・センテンス(命題)的なまとまりや筋道がつけられる(物語化)ことになった。彼らは気味悪いという,初発の感想を美的特性の重ね塗りによって乗り越えて,作品の主題を人と人との支え合いやつながり,絆の物語として感受した。授業展開の一環として,当該ワークシートに取り組むことで,人間観を感性的に深めていったのである。
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丹内 愛, 三根 和浪
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
347-355
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本研究では,中学校美術科の工芸学習において作品に対する制作者の愛着形成要因とそこから考えられる指導上の留意点について考察した。まず,作品に対する愛着がどのような時に形成されるかの実態を把握するため,聞き取り調査を実施した。次に,形成された愛着の理由をカテゴリに分類し,その出現頻度を集計した。以上から得られたデータを分析した結果,作品に対して愛着を持つためには『成就達成感』と『利便性』の要因がとりわけ重要であることが示唆された。
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永澤 桂
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
357-366
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本論は,美術が家族をめぐる問題に対して,いかなる貢献ができるのかという視点から,西欧で描かれた伝統的な母子像に光をあてることにより,そこで示されたジェンダーに関する考察を目指すものである。西欧で伝統的に描かれてきた聖母子像においては,イエスや聖母マリアが人間としての身体を獲得することと,両者の間に親密な情が交わされることが結びついている。このことから,ジェンダーについての理解を深めるための題材として,母子像の鑑賞が有効性を持つと考え,その実践的な方法として,とくに身体表象について検討する。現在,家族をめぐって多様な問題が議論されているなかで,母子像の鑑賞が,多様なジェンダー観を磨くことに寄与しうる可能性を持つと考えている。結論として,ジェンダーを切り口とした母子画の鑑賞を通して,美術が人間関係,多文化・異文化理解に貢献できる営みであることを言及している。
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長瀬 達也
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
367-379
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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フリー
本論では,大正12年(1923)開催「全県図画研究会」以降から昭和3年(1928)の山本鼎来県までの秋田県図画教育などに関することを,当時の地方紙や教育関係資料などによって調査して,主に以下のことを確認した。(1)展覧会が全県各地で行われ,秋田県女子師範学校附属小学校などでは継続的に展覧会が開催されて,秋田県図画教育には一定の成果や新しい進展があった。(2)洋画家の伊藤弥太や金沢秀之が図画教育にかかわり,図画教育のために小学校教員が「絵」の実技練習を行う「六葉会」が活動していた。(3)「芸術教育」を重視する考え方が広がり,その中で子どもを一人の「芸術家」と見なす考え方が広まっていた。
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西園 政史
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
381-392
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
フリー
本稿は,中学校美術科教育における言語活動について,擬態語を用いた授業実践を通して美術表現における言語の役割を分析し,美術科における言語活動のビジョンを提示するものである。美術による経験と言語との関係を明らかにするために,美術科教育における言語の役割について理論的に整理した。そして実践場面より,擬態語を美術表現に介在させ作品化することで,質的経験や深層意識に触れながら内的経験が生成されることを考察し,そこには言語との関わり合いが作品を形成していることを実証した。このことは,美術科教育による人間形成となり,美術や世界の見方に変化を与えると考えられる。
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橋本 忠和
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
393-406
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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フリー
国際理解教育の一つの手だてとして学校間の国際的交流が注目されている。しかしながら,学校単位で行う場合,時間的・予算的に制約があり,海外の交流校を探すことは難しい。また,その活動内容も手紙交換等が多く,共同研究や制作を行っている事例はまだ少ない。したがって,地球環境全体の利益を優先する発想で物事を判断する「グローバルなものの見方」の育成まで至っていないのが現状である。そこで,カナダと壁画の制作を行った姫路市立手柄小学校の事例を対象として,国際交流壁画共同制作が,どのような教育的効果をもたらすのか分析した。その結果,共同制作を軸に多様な通信手法を駆使した活動が,児童のコミュニケーション力や異文化理解力の向上に役立つ反面,担当教員の負担増等の課題点をもたらすことが見いだせた。
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初田 隆, 井上 朋子
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
407-418
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
ジャーナル
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音と造形を結びつけた実践や研究を多数見出すことはできるが,現在思いのほか教育現場に浸透してはいない。その原因を探るとともに,音をかく活動の意義や根拠を示すことが本研究の目的である。本論では,小学生,大学生,教員対象に,音の描画と質問紙による調査を行った。大方の子どもは音をかく活動に好印象を示したが,学生や教員の多くは,音を描いた経験がないため,授業のイメージがもてなかったり,造形的な価値を見出せず,このことが実践を困難にする要因になっていると考えられる。本論では調査結果及び「音をかく活動」が成立する根拠に関する考察を基に,音を絵にする描画方略を5つに類型化することができた。そして授業実践における描画方略の可能性について論じた。
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春野 修二
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
419-429
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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空間の美を意識することや生活と美術の繋がり,美術の自由さや創造性の広がり他を感じ取る上で,美術教育において建築を取上げることは有効な手段だと言えるだろう。これらの理由等から,多くの教師や研究者達が,これまでにも図画・工作科や美術科と建築の接点を模索しながら題材の設定を行ってきた。本研究では,それらの建築に対する教育の在り方を踏まえ,美術科教育実践で取り扱われることの少なかったアンビルト・アーキテクチュア(ヨナ・フリードマンを中心に)を新たに題材の中に位置づけ,その可能性を模索するものである。授業における実際の場面では,建築模型によく使われるスチレンボードと紙を使って模型制作を行い,最終的には天井から吊るすことで空中都市のような状態を創りだした。大学附属の中学校,第3学年において総時数9時間で行った授業実践の内容の在り方を分析し,検証するものである。
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平野 英史
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
431-442
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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小論では,「教育的図画・手工」の主張を展開した阿部七五三吉による昭和初期の尋常小学校手工科の実践案における教材排列法の特質を明らかにすることを目的とした。そして,阿部と同時代の研究者であった創作手工協会の石野隆による実践案を比較対象として研究を進めた。考察の結果,阿部の教材排列法は,多種多様な製作活動の基礎的能力の形成を目的とするため,「図の読み書き能力の形成」および「材料および加工用具の知識・技術の習得」を重視していることが分かった。比較することで明らかとなった阿部の指導方法の特徴は,一斉指導による効率性を重視する方法から,個々の子どもが課題を設定する随意選題による方法への移行を構造としていることであった。
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牧野 由理
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
443-454
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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本稿では明治期の幼稚園で行われた図画教育を解明するために,図画を行う際に使用されたと推測される掛図や絵の実態を明らかにすることを目的とする。そこで明治初期に開園した京都府加佐郡舞鶴町立舞鶴幼稚園(現・舞鶴市立舞鶴幼稚園)を対象とし,現存する掛図の調査分析を行った。その結果,舞鶴幼稚園では幼児が肉筆(手描き)の掛図や絵を通して本物の絵に触れる機会があったことが明らかとなった。掛図の一部ではあるが地域の日本画家とのかかわりが示唆され,画家の作品を幼稚園で直接見ることにより,幼児の図画表現の形成の一端を担っていたといえるだろう。
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村松 和彦
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
455-467
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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中学校美術科は,その教科目標である「豊かな情操を養う」ことができるのかを明らかにするために,戦後の学習指導要領における「情操」の文言の変遷を概観し,現行の第2,3学年の美術科の学年目標とマクルーハンらのメディアの4法則とでマトリクスを組み,その各々について考察を行った。その結果,制度としての美術科教育は子どもたちや学校の抱える問題を解決し得ず,美術はその本来のあり方から子どもたちに自我の拡張感をもたらし,人間性を回復することで豊かな情操を養う足がかりにはなり得るが,それを養うことには繋がらないとの結論を得た。
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若山 育代
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
469-477
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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本研究では,制作意欲,主題,事物の三つを幼児が遊びの中で束ねることによって,目の前の事物に既知イメージとの形態的類似性を発見することが幼児の創造的な造形的見立てであると仮定した。そこで,この仮説を支持する創造的な造形的見立てが,幼児の日常の遊びの中でみられるかを確認した。幼児が好きな遊びを楽しんでいる時間に観察を行った結果,見出された幼児の造形的見立ての五つの事例の中に,制作意欲,主題,事物の三つが含まれていることが明らかになった。このことから,本研究で提示した創造的な造形的見立てについての仮説は,幼児の実態に即した生態学的妥当性の高い定義であると結論付けられた。
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和田 学
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
479-495
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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本研究は,戦時下の日本の教育制度にあらわれた中学校・国民学校の芸能科工作の出現時の経過・背景・特性について考察するものである。中学校の工作については,当時の会議において,審議された速記録の内容を分析することで明らかにし,国民学校の工作については,文部省内の動向,及び工作科を設置する運動を起こしていた人物らに焦点をあて,その動向と影響を考察する。本研究の結果から,芸能科工作は,中学校・国民学校共に,従来の作業科の中から派生してあらわれたことが分かった。
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原稿種別: 文献目録等
2013 年 34 巻 p.
497-508
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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宇田 秀士, 増田 金吾, 長谷川 哲哉, 山田 芳明, 立原 慶一, 丁子 かおる, 永守 基樹
原稿種別: 本文
2013 年 34 巻 p.
509-546
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
548-549
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
550-552
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
553-554
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
555-557
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
558-
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
559-560
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
561-
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 付録等
2013 年 34 巻 p.
App2-
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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原稿種別: 表紙
2013 年 34 巻 p.
Cover2-
発行日: 2013/03/25
公開日: 2017/06/12
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