動物遺伝育種研究
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52 巻, 2 号
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  • 大島 優紀, 小野木 章雄
    2024 年 52 巻 2 号 p. 27-36
    発行日: 2024/08/01
    公開日: 2024/08/19
    ジャーナル オープンアクセス
    近年単一の細胞からマルチオミックスデータを得ることが可能となってきた。これにより個々の細胞の状態をマ ルチオミックスの観点から観測することができるようになり、そこから動物科学・育種分野において有用な知見が 得られる可能性が出てきた。細胞単位でマルチオミックスデータが得られた場合、一般的には多様かつ多次元のマ ルチオミックスデータを統合しながら次元削減し、情報を低次元に圧縮する。適切な次元削減手法の選択や新たな 手法の開発のためには、既存の手法を比較することが必要であるが、そのような比較研究は少ない。そこで本研究 ではシングルセル解析由来の遺伝子発現とクロマチンアクセシビリティから成る2つのマルチオミックスデータを 用いて、複数の次元削減手法を比較した。比較した手法はmultiple co-inertia analysis(MCIA)、multi-omics factor analysis、single-cell aggregation and integration(scAI)、Seurat、主成分分析及びuniform manifold approximation and projection の6 つであった。次元削減の有効性は既知の細胞種類が削減された次元でどの程度正確に分類できている かを、シルエット係数を計算することにより評価した。その結果、MCIA とscAI が細胞分類の観点から上位である 一方で、計算時間の観点からは他手法に劣る結果となった。以上から、シングルセル解析におけるマルチオミック スデータを統合し次元削減する手法において、細胞分類の正確さと計算時間双方の観点から優れた手法が提案され ていないことが示唆された。
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