血漿中プロジェステロン値を用いた山羊の分娩予測法及び妊娠診断法の検討を目的とした。まず、RIA法と比較して簡便で判定時間の短いEIA法について検討した。EIA法では、市販のEIAキット(オブチェックEIAキット[牛・馬用])を用いた。このEIA法は、RIA法と有意な相関(n=18, r=0.903, P<0.01)を示し、山羊血漿中プロジェステロン値を十分推定可能であることが明らかとなった。このことから、本実験では山羊のプロジェステロン値としてEIA法による測定値を用いた。山羊の分娩予測については、採血から分娩までの時間とプロジェステロン値の間に有意な正の相関関係がみられた(n=29, r=0.739、P<0.01)。また、測定時刻である午後2時時点のプロジェステロン値が9.5ng/ml以下であった山羊の92%が22時間以内に分娩した。これらのことよりEIA法は山羊の分娩予測に有効であることが示唆された。妊娠診断法の検討については、超音波診断装置で妊娠を確認した妊娠20日から90日目の山羊33頭を用いプロジェステロン値を測定した。その結果、妊娠山羊のプロジェステロン値の最低値は7.6ng/mlであった。そのため7.5ng/mlが妊娠を判断する基準になることが示唆された。また、6ng/mlから7ng/mlレベルの山羊は検査時の測定誤差もあるため、10日程度後に再測定し、妊娠を確定する必要があると考えられた。
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