日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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41 巻, 4 号
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  • 李 成大, 園田 立信, 長谷川 信美, 福永 理恵, 藤代 剛, 原田 宏, 宋 瑛敏, 日高 良一
    原稿種別: 本文
    2006 年 41 巻 4 号 p. 181-190
    発行日: 2006/02/06
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    母豚の胎盤摂取が母豚の血漿および乳中ミネラル含量と子豚の成長に与える影響について実験を行った。実験1では、胎盤摂取の有無により試験区(Ex)と対照区(Ct)とし、試験2では、給与胎盤の状態(生区: Fpおよび加熱区: Cp)と量(900g区: W9および1800g区: W18)により、2×2要因実験を行った。実験1において、血漿では、カリウム含量は日齢1(D01)と日齢5(D05)にExがCtより高かった(P<0.05)。乳では、マグネシウム含量はD15に、カリウム含量はD01とD05にExがCtより高かった(P<0.05)。実験2において、血漿では、カリウム含量はD01にFpがCpより有意に高かった(P<0.05)。乳では、カリウム含量はD03、D16およびD20にFpがCpより有意に高かった(P<0.05)。実験1において、子豚の日増体量はDG05(D05の体重-D01の体重)、DG20(D20の体重-D15の体重)および総日増体量(TDG, D20の体重-D01の体重)はExがCtより高かった(P<0.01)。実験2において、日増体量はDG03(D03の体重-D01の体重)、DG08(D08の体重-D03の体重)およびDG12(D12の体重-D08の体重)にFpがCpより有意に高かった(P<0.01)。本試験の結果から、新鮮胎盤給与は母豚の血漿および乳中ミネラル含量と子豚の日増体量を高めることが明らかとなった。
  • 林 翰群, 岡部 健太郎, 岡本 全弘
    原稿種別: 本文
    2006 年 41 巻 4 号 p. 191-196
    発行日: 2006/02/06
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    北海道江別市と台湾省台南県のフリーストール牛舎に飼養されるホルスタイン泌乳牛延べ347頭の体表面の温度を二次元放射温度計にて計測した。測定部位は北海道では頸、腹、乳房、尻後部であり、台湾では腹と乳房であった。測定時の牛舎内の気温は9.2〜32.7℃、相対湿度は35.0〜89.0%の範囲であった。使用した二次元放射温度計ではデジタル写真が撮影され、その中の64ヵ所の表面温度が測定される。このうち、該当部位の平均温度、最高温度および最低温度を記録した。北海道で測定した乳牛の腹、乳房、頸、尻後部の平均温度の平均値は乳房、尻後部、腹および頸の順に高く、範囲は29.7〜31.6℃であった。平均最高温度は乳房および尻後部が高く、腹および頸が低かった。また、平均最低温度は腹、頸、乳房、尻後部の順に高かった。さらに、最高温度と最低温度の差が小さかった部位は腹および頸であり、差の平均値は2.35および2.68℃であった。差が大きかった部位は尻後部および乳房であり、差の平均値は7.09および5.68℃であった。台湾における測定値は北海道の値より数度高くなったが、これは測定時の平均気温が高いことを反映したものと思われた。台湾では平均温度の平均値、平均最高温度、平均最低温度のいずれも乳房が腹よりも高くなった。測定時の気温と乳房および腹の最高温度および最低温度の平均値の散布図をみると、気温25℃以上の高温域では各体表温度に大きな変化はなかった。25℃以下においては気温の低下にともない各体表温度の平均値は低下したが、乳房の平均最高温度の低下幅は小さく、乳房の平均最低温度の低下幅は大きかった。すなわち、25℃以下の低温域においては乳房表面の最高温度と最低温度の差は拡大した。腹においては最高温度と最低温度の差はおおむね一様であり、低温域において差が拡大することはなかった。
  • 塩谷 瑠美, 増田 樹哉, 小林 茂樹
    原稿種別: 本文
    2006 年 41 巻 4 号 p. 197-207
    発行日: 2006/02/06
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    軽種育成馬の気質判定は、育成馬個体の飼育方法やトレーニング方法の選択および馬・飼育者双方の事故防止のためばかりでなく、動物福祉改善の面でも有効である。ウマの気質調査法には、ウマの行動および生理反応を評価する方法と日常的にウマに接する人に対する意識調査による判定法があるが、これら2つの手法の関連性については不明である。本研究では、日齢620±27日のサラブレッド種15頭(雌12頭、雄3頭)を対象として、新奇物反応テストおよび飼育管理者意識調査を行い、それらの判定結果の関連性について検討した。新奇物反応テストでは、20Lポリ空缶の上に赤色バスケットボールを載せた「新奇物」に対する反応を観察し、5項目の"時間行動(継続時間として観察される行動)"と6項目の"頻度反応(回数として観察される反応行動)"について解析を行った。管理者意識調査では、生産牧場・育成牧場の管理者に気質特性9項目、日常行動26項目のアンケート調査を行った。新奇物反応テストの時間行動では、「警戒」(26.6%)がみられ、同じく頻度反応では「嘶き」等の警戒行動が比較的多くみられた。管理者意識調査のウマ気質特性評価では、主成分分析の結果「友好的探求心」、「鋭敏性」および「従順性」の3主成分が導出され、全要素の81.1%がこれらの3成分によって説明された。同じく意識調査のウマ日常行動評価では、個体の日常行動が気質特性の「好奇心」、「親しさ」、「興奮性」および「愛着心」を強く反映した。意識調査で「神経質」と評価された個体は、新奇物反応テストで「新奇物に近づかない」傾向にあった。同じく意識調査で「愛着心」と「理解力」をもつ個体は、新奇物反応テストで「地面を蹴る」と「探求以外の移動行動」が多い傾向にあった。意識調査と新奇物反応テストの特定項目間に関連性があり、本調査で用いた新奇物反応テストから、軽種育成馬の気質を部分的に判定することは可能であると結論された。
  • 武井 直樹, 新海 喜久夫, 小林 孝至, 高村 憲和, 名倉 義夫, 海老原 克仲, 藤田 優
    原稿種別: 本文
    2006 年 41 巻 4 号 p. 208-212
    発行日: 2006/02/06
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    血漿中プロジェステロン値を用いた山羊の分娩予測法及び妊娠診断法の検討を目的とした。まず、RIA法と比較して簡便で判定時間の短いEIA法について検討した。EIA法では、市販のEIAキット(オブチェックEIAキット[牛・馬用])を用いた。このEIA法は、RIA法と有意な相関(n=18, r=0.903, P<0.01)を示し、山羊血漿中プロジェステロン値を十分推定可能であることが明らかとなった。このことから、本実験では山羊のプロジェステロン値としてEIA法による測定値を用いた。山羊の分娩予測については、採血から分娩までの時間とプロジェステロン値の間に有意な正の相関関係がみられた(n=29, r=0.739、P<0.01)。また、測定時刻である午後2時時点のプロジェステロン値が9.5ng/ml以下であった山羊の92%が22時間以内に分娩した。これらのことよりEIA法は山羊の分娩予測に有効であることが示唆された。妊娠診断法の検討については、超音波診断装置で妊娠を確認した妊娠20日から90日目の山羊33頭を用いプロジェステロン値を測定した。その結果、妊娠山羊のプロジェステロン値の最低値は7.6ng/mlであった。そのため7.5ng/mlが妊娠を判断する基準になることが示唆された。また、6ng/mlから7ng/mlレベルの山羊は検査時の測定誤差もあるため、10日程度後に再測定し、妊娠を確定する必要があると考えられた。
  • 李 成大, 園田 立信, 長谷川 信美, 福永 理恵, 藤代 剛, 原田 宏, 日高 良一
    原稿種別: 本文
    2006 年 41 巻 4 号 p. 213-221
    発行日: 2006/02/06
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    母豚の胎盤摂取が母豚の乳中グルコースおよびたんぱく質含量に与える影響について実験を行った。実験動物は母豚40頭と子豚413頭を供試した。実験1では、胎盤摂取の有無により試験区(Ex)と対照区(Ct)とし、試験2では、給与胎盤の状態(生区: Fpおよび加熱区: Cp)と量(900g区: W9および1,800g区: W18)により、2×2要因実験を行った。試験1において、グルコース含量は、日齢1(D01)と日齢5(D05)にExがCtより高かった(P<0.01)。試験2において、グルコース含量は、D01とD03にFpがCpより高かった(P<0.01)。グルコース含量には給与量による差はなかった(P>0.05)。試験1において、たんぱく質含量は、D01にExがCtより高かった(P<0.05)。試験2では、たんぱく質含量はD01にFpがCpより有意に高かった(P<0.01)。たんぱく質含量には給与量による差はなかった(P>0.05)。試験1において、子豚の日増体量はDG05、日齢20(DG20)および総日増体量にExがCtより高かった(P<0.01)。試験2において、子豚の日増体量は日齢3(DG03)から12(DG12)にFpがCpより有意に高かった(P<0.01)。子豚の日増体量と総日増体量には給与量による差はなかった(P>0.05)。本試験の結果から、新鮮胎盤給与は母豚の乳中グルコースとたんぱく質含量を増加させ、子豚の日増体量を高めることが明らかとなった。
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