日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
Online ISSN : 2424-1776
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ISSN-L : 1880-2133
46 巻, 3 号
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  • 加瀬 ちひろ, 江口 祐輔, 古谷 益朗, 植竹 勝治, 田中 智夫
    原稿種別: 本文
    2010 年 46 巻 3 号 p. 89-96
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    日本ではハクビシンによる農作物被害や家屋侵入被害が発生している。そこで、ハクビシンによる家屋侵入被害を防除するための基礎的知見を得るため、試行錯誤試験により、成獣ハクビシンが侵入可能な入口の大きさおよび形状を検討し、入口への行動も併せて調査した。入口は横長の長方形(2.5〜10cm×20cm:変化幅2.5cm)、縦長の長方形(20×2.5〜10cm:変化幅2.5cm)、正方形I(一辺2.5〜10.0cm:変化幅2.5cm)、正方形II(一辺8〜11cm:変化幅1cm)、円形(直径8〜11cm:変化幅1cm)を提示した。ハクビシンが侵入できた最小の入口の大きさと形状は、7.5×20cmの横長の長方形、20×7.5cmの縦長の長方形、一辺8cmの正方形、直径10cmの円形であった。入口への探査行動は嗅覚的探査や視覚的探査だけでなく、物理的に侵入が不可能な入口であっても、鼻先を入れて確認する行動が観察された。ハクビシンは入口から侵入する際、関節を柔軟に動かした。さらに、侵入できない入口であっても何度も入口を訪問し、探査した。本研究により、ハクビシンが侵入可能な最小の入口の大きさおよび形状が明らかとなり、湿潤な気候に対応するために随所に隙間がある構造の日本家屋では、ハクビシンが容易に侵入し、被害を及ぼす可能性があることが示唆された。
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