日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
Online ISSN : 2424-1776
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ISSN-L : 1880-2133
47 巻, 4 号
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  • 加瀬 ちひろ, 江口 祐輔, 古谷 益朗, 植竹 勝治, 田中 智夫
    原稿種別: 本文
    2011 年 47 巻 4 号 p. 121-127
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    日本においてハクビシンは農作物被害だけでなく家屋侵入被害も引き起こしている。著者らはこれまでに家屋侵入被害を防除するため、ハクビシンが侵入可能な入口の大きさおよび形状の検討を行った。しかし実験では、長方形入口の長辺は20cmに固定しており、ハクビシンはさらに小さな入口でも侵入する可能性がある。本研究では、ハクビシンが侵入するごとに長方形入口の短辺と長辺を1cmずつ短くしていく方法で、侵入可能な長方形入口の大きさと形状を検討した。また、入口前での探査行動と侵入方法を調査し、侵入戦略に関して考察した。ハクビシンが侵入した最小の入口は、H6×W12cmの横長の長方形およびH11×W7cmの縦長の長方形であった。入口への探査行動は、嗅覚的、視覚的なものだけでなく、入口に鼻先を入れるといった物理的な接触も観察された。におい嗅ぎおよび鼻先入れの持続時間は、侵入した最大の入口、侵入した最小の入口、および侵入に失敗した入口間で有意差がみられ、侵入に失敗した入口において最長であった(それぞれP<0.01)。しかし、注視の持続時間は入口間で有意差がみられなかった。これらのことから、ハクビシンは視覚情報のみでその入口から侵入するか判断するのではなく、入口に接触して侵入の可否を判断し侵入に至ることが示唆された。
  • 福澤 めぐみ, 小河 大輔
    原稿種別: 本文
    2011 年 47 巻 4 号 p. 128-134
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    日常生活におけるイヌの役割の多様化に伴い、ヒトはイヌに様々な訓練を行うようになった。しかし、訓練に用いるコマンド音の特徴的な変化とイヌの行動の関係を評価する研究が少ない。本研究では基礎訓練を終了した成犬4頭に対し、3音素で構成される2種類のコマンド「オイデ」と「ハウス」の子音を変化させて提示し、その音声コマンドに対するイヌの反応を評価した。コマンド「オイデ」の子音変化に対する平均反応スコアは、無処理のコマンドと比較して有意に低下した。さらに、提示されたコマンドに対してイヌが反応を完了させるまでのタイムは、無処理のコマンドと比較して有意に遅かった。コマンド「ハウス」の反応スコアならびにタイムは「オイデ」と類似傾向を示した。これらのことから、コマンドによる差はあるものの、イヌは日本語の3音素のコマンドにおいても音声の微妙な変化を認識できることが示唆された。
  • 亀井 利活, 竹田 謙一, 伊原 和彦, 榊原 史子, 岡田 光弘, 小山 泰弘
    原稿種別: 本文
    2011 年 47 巻 4 号 p. 135-142
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    野生ニホンジカ(以下、シカとする)の牧草地における誘引捕獲に最適な誘引餌を探索するために、実験1では、飼育ジカ11頭を用いて牧草および摂食経験のない各種餌に対する嗜好性を検証した。実験2では、実験1において嗜好性が高かった上位2種類の餌を、野生ジカが多く出現する牧草地に提示し、それらの誘引効果を実際の現場で検証した。実験1において、飼育ジカの嗜好性は、糖蜜とトウモロコシを含む配合飼料において最も高く、次いでトウモロコシの嗜好性が高かった。実験2では、供試餌に誘引された野生動物の96%がカラス類、3.8%がタヌキとなり、シカは0.2%のみであった。以上より、飼育ジカにとって嗜好性が高かった配合飼料やトウモロコシは、他の野生動物の嗜好性も高く、誤誘引により野生ジカの捕獲成功率を低下させることが示唆された。今後、野生ジカの誘引餌の選択にあたっては、他の野生動物の嗜好性やその誤誘引も十分に考慮する必要がある。
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