日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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49 巻, 3 号
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  • 福澤 めぐみ, 清時 華代
    原稿種別: 本文
    2013 年 49 巻 3 号 p. 113-121
    発行日: 2013/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、11頭(オス5、メス6頭;6から78カ月齢)の健康なイヌを供試し、ヒトの顔部分の提示変化に対するイヌの反応を評価した。実験者は各供試犬に対し未処理の顔(ノーマル)、顔全体を隠す(処理1)、顔の一部分(目・鼻・口)を隠す(処理2・3・4)、顔部分の倒立(処理5)のいずれかを提示した。実験者とイヌは向かい合い、その距離は4mだった。実験の様子はビデオカメラで連続記録し、供試犬の行動を観察した。ノーマルと処理1〜5における各行動継続時間を比較した結果、その継続時間は処理によって異なったが処理1、4の接近後の立位時間は有意に長かった。また各処理内における行動継続時間に異なる傾向が認められた。これらの結果より、イヌはヒトの顔部分の提示変化を認識している可能性が示唆された。
  • 倉地 卓将, 村瀬 香織, 西出 雄大, 小山 哲史, 佐藤 俊幸
    原稿種別: 本文
    2013 年 49 巻 3 号 p. 122-127
    発行日: 2013/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
  • 安井 早紀, 伊谷 原一
    原稿種別: 本文
    2013 年 49 巻 3 号 p. 128-135
    発行日: 2013/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    タイの東北部、スリン県のタクラン村は、古くからゾウを使役に使う少数民族クイ族の住む村であり、ゾウの村として知られている。タイでは、1989年に森林伐採が禁止されると、材木運搬等に従事していた多くのゾウは仕事を失い、代わりに観光客相手の仕事をするようになった。なかでも交通量の多い都会で観光客に向けて餌を売り歩くゾウとゾウ使いが増え、動物福祉の観点から問題視されるようになっていった。2005年、スリン県行政機構により村にスリン・ゾウ研究センターが設立され、経済的援助によりスリンでの生活を保障することで、スリン出身のゾウ使いと彼らのゾウを、故郷へ呼び戻すためのプロジェクトが始まった。そして現在、約200頭のゾウがセンターに登録されている。このセンターでのゾウとマフーの生活や、現地で行われているボランティア・プロジェクトについて紹介する。
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