日本ダニ学会誌
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1 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 黒佐 和義
    1992 年 1 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    静岡県下で切株に生じた苔から採集されたヒナダニ科の雌成虫1個体に基づいて,Bakerdania属の1新種を記載し,B.rotundaと命名した。本種はウクライナ産のB.dryophilus Sevastianov,1975に近縁であるが,基節毛の1a,1b,2a,2b,3aに枝毛が明瞭に認あられること,3a,3b,4a,4bがはるかにより長いことなどにより識別できる。
  • 青木 淳一
    1992 年 1 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    栃木県宇都宮市上横田町にある温室内で栽培されているランの一種(Vanda)の茎・葉・花および培地から多数のササラダニ類が発見され,調査の結果,それらはパナマ,コロンビア,ヴェネズエラから知られるMochlozetes penetrabilis Grandjean(マルコバネダニ,新称),グァテマラから知られるPeloribates grandis(Willmann)(オオマルコソデダニ,新称),日本南部に分布するScheloribates decarinatus Aoki(ミナミオトヒメダニ,新称),および新種Hemileius clavatus(イムラフクロコイタダニ,新称)の4種からなることがわかった。これらのダニはランの輸入先であるタイ国から植物体に付着して移入されたものと思われる。今のところ植物に対する害の有無は不明であるが,ダニ体内に生きた植物に由来すると思われるものは見られず,一部の個体からは多量の菌類の胞子が見つかったことから,ランの植物体上や培地に生育する菌源を栄養源としているものと推定される。
  • 鎮西 康雄, DeMar TAYLOR, 三浦 健, 安藤 勝彦
    1992 年 1 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    カズキダニ属の一種であるOrnithodoros moubataを用いて,総神経球(Synganglion=SyG)に含まれる卵黄形成を誘導する因子について調べた。ピレスロイドの一つ,サイパーメスリンは神経分泌をうながすことが知られているが,サイパーメスリンを結紮によって分けたSyGを含む前部と,含まない後部(卵巣を含む)の両方に処理したところ,前部のみヴィテロジェニン(Vg)の誘導がみられた。これまでの研究と合せて,CyMはSyGから卵黄形成誘導因子の分泌を促進すると結論した。また種々組織の抽出液を未吸血雌成虫に注射し,Vg濃度と卵巣発達の誘導活性を調べたところ,未吸血雌のSyGに活性がみとめられた。このことから卵黄形成誘導因子(VIF)は未吸血時のSyGに含まれ,吸血により分泌され,吸血後しばらく(5日目まで)は含まれていないことが判明した。
  • 石ぐろ 史, 飯田 英侃, 波田野 基一, 矢野 泰弘, 高田 伸弘
    1992 年 1 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    福井県内におけるマダニ類の分布相を調べるとともに,それらのライム病々原体Borrelia burgdorferiの保有状況を調杳した。
    1. 県内14地点で採集できた未寄生期マダニ類は,Amblyomma testudinariumn(At), Dermacentor taiwanensis(Dt), Haemaphysalis flava, H. japonica, H. kitaokai(Hk), H. longicornis, H. megaspinosa, Ixodes monospinosus(Im), I. nipponensis, I. ovatus(Io),I. persulcatus(Ip)および不明種としてI. sp. Mt. Arashima(成虫)とI. sp. Mt. Johoji(若虫)の計4属13種であり,成虫は545個体で若虫は292個体を数えた。
    2. 南方系のAtとDtは今回で各々分布北限が伸び,北方系のIpは800m以下では見出されなかった。HkとImは大型獣の分布との関係で限局的に濃厚な分布を見た。
    3. 4属9種の成虫307個体からBorreliaの分離を試みた結果, Ioでは32/154(20.8%),Ipでは3/27(11.1%)で陽性であった。また,若虫ではHf 1個体からも分離できた。
    4. 分離株の抗原性については,H5332(B. burgdorferi菌体表層蛋白特異的モノクローナル抗体)とH9724(ボレリア属鞭毛蛋白特異的)に対して,Io由来株の全てとHf由来株がIFA陽性であったのに対し, Ip由来株3株中の2株はH5332に反応しなかった。
  • 高田 伸弘, 藤田 博己
    1992 年 1 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    実験室内飼育により互いに連絡をつけ得た Ixodes sp. L1, I. sp. N2および雌成虫標本に基づいて,新種I. columnae sp. nov.を記載した。本新種は,全発育期を通じてその口下片の形態が円柱状またはエンタシス様である点で,東アジア産のすべての種と区別される
  • 後藤 哲, 高山 健志
    1992 年 1 巻 1 号 p. 45-60
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    オウトウハダニTetranychus viennensis Zacherには,周気管の形状と雄成虫の体色,産卵習性を異にする系統が存在する。これらは種内変異と考えられているが,詳細には検討されていない。本研究では,複雑な周気管を持ちバラ科樹木に寄生するリンゴとサクラ系統および単純な周気管を持ちブナ科樹木に寄生するミズナラ系統が同一種であるかまたは,別種であるかを明らかにする目的で,寄主範囲,増殖率,生殖和合性およびエステラーゼザイモグラムを調査した。リンゴとサクラ系統の寄主範囲は非常によく類似していたが,ミズナラ系統とは明らかに異なっていた。ミズナラ系統の内的自然増加率はリンゴ系統と類似した値を示したが,サクラ系統の値よりは低く,ブナ科とバラ科寄生系統間の差は不鮮明であった。系統内交配およびリンゴとサクラ系統間の交配では雌雄の子孫が出現し,和合性を示したが,バラ科に寄生する2系統とミズナラ系統の交配では雄の子孫のみが出現し,生殖的な隔離が見られた。エステラーゼアイソザイムのバンドは,3系統に共通する1本(E7)を含む8本が検出された。リンゴとサクラ系統では,サクラ系統に特異的な1本(E1)を除き,共通する3本のバンドを示したが,ミズナラ系統はこれらと異なる3本のバンドを出現した。以上の結果から,バラ科に寄生するリンゴとサクラ系統は同一種であるが,ブナ科に寄生するミズナラ系統は明らかに別種であると結論された。
  • 1992 年 1 巻 1 号 p. 61-75
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 青木 淳一
    1992 年 1 巻 1 号 p. preface
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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