日本ダニ学会誌

総説

日本産ムチカブリダニ亜科（カブリダニ科）の再検討：属と種のチェックリスト及び検索表（英文）

江原昭三, 天野洋

2004 年 13 巻 1 号 p. 1-30
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.1

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カブリダニ科に属するAmblyseiinae(ムチカブリダニ亜科,新称)の日本産種の分類学的再検討を行い,チェックリストと検索表を掲げた.49種を取り扱い,これらをNeoseiulus (11),Typhlodromips (14),Typhlodromalus (1),Amblyseius (10),Euseius (3),Proprioseiopsis (2),Okiseius(2),Amblyseiulella(2),Paraphytoseius(3),Indoseiulus(1)の10属に分類した(括弧内は種数).日本未記録のNeoseiulus repletus(Wu and Li)(ホオノキカブリダニ, 新称)を再記載した.なお,酷似する2種,Paraphytoseius urumanus(Ehara)(ウルマカブリダニ)とP. orientalis(Narayanan, Kaur and Ghai)(ウルマカブリダニモドキ,新称)は,第IV 脚の巨大毛の数によって容易に識別できることを明らかにした.

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原著

トマトサビダニAculops lycopersiciのトマトの葉内での分布と密度推定法（英文）

河合章, Mohd. Mainul HAQUE

2004 年 13 巻 1 号 p. 31-39
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.31

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トマトサビダニの葉内分布を施設トマトで調べ，密度推定法を検討した．成虫と若虫の葉内分布は同様であった．約50％が小葉に，約50％が葉柄に寄生しており，小葉では大部分が表面に寄生していた．葉柄では基部ほど密度が高く，基部に近い小葉ほど密度が高かった．小葉内では中央部や基部で密度が高かったが，全体の密度が高くなると分布は均一となった．分布様式から，第2 及び第3 小葉と葉柄の数カ所の個体数を調査することにより，葉全体の密度を推定する方法を提案した．

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パキスタン・パンジャブで発見されたヒメハダニ科の2新種の記載（英文）

Mansoor-ul HASAN, Waqas WAKIL, Faiza BASHIR

2004 年 13 巻 1 号 p. 41-45
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.41

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Two new species of the genus Tenuipalpus, T. mandraensis and T. kenos, are described and illustrated. These species are assigned to the T. annonae subgroup, T. caudatus group.

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カンザワハダニのミトコンドリアCOI遺伝子の解析（英文）

日本典秀, 高藤晃雄

2004 年 13 巻 1 号 p. 47-55
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.47

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カンザワハダニ23 系統のミトコンドリアチトクローム脱水素酵素サブユニットI（COI）の一部約705 bp の塩基配列を比較した．52 塩基（7.4%）で多型が検出されたが，塩基置換の飽和は検出されなかった．したがって，この領域を系統解析に使用することは適切と考えられた．最尤法によって系統解析を試みると，すべての系統がひとつのクレードにまとまり，これらの系統が単系統であることが明らかとなった．しかし，地理的距離と遺伝的距離の相関は検出されず，地理的変異の指標としての本遺伝子を用いることが適切かどうかは，さらに解析が必要と考えられた．

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コナダニOulenzia sp.の警報フェロモンとしてネラールの同定（英文）

清水伸泰, 野下浩二, 森直樹, 西田律夫, 桑原保正

2004 年 13 巻 1 号 p. 57-64
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.57

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未同定種Oulenzia sp. のヘキサン抽出物に警報フェロモン活性を認めた．ヘキサン抽出物は，2 種の未知化合物を含め，トリデカン，ネラール，ペンタデカン，ドデカン，3-ヒドロキシベンゼン-1,2-ジカルバルデヒド，ゲラニアール，(Z)-7-ペンタデセン，7-ヒドロキシフタライドの10 化合物で構成されていた．抽出物をシリカゲルカラムで精製したところ，活性フラクションにはネラールとゲラニアールが含まれていた．ネラール（1–1000 ng で活性）はゲラニアール（1000 ng でのみ活性）よりも強い活性を示すことから，ネラールを本種ダニの警報フェロモンと同定した．

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日本の慣行防除果樹園で優占するミヤコカブリダニとケナガカブリダニの薬剤感受性（英文）

天野洋, 石井由紀, 小堀陽一

2004 年 13 巻 1 号 p. 65-70
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.65

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わが国の慣行防除下にある果樹園では，近年，優占するカブリダニ種が変わってきた．その原因を探る過程で，「使用された化学薬剤の変遷とそれらへの薬剤感受性の違いがカブリダニ優占種の変化をもたらした」との仮説をたてた．そこで，従来からの優占種であったケナガカブリダニと近年急速に個体数を増やしているミヤコカブリダニの，慣行的に使用されてきた薬剤22 種（殺虫剤6 種，殺ダニ剤16 種）に対する薬剤感受性を検定した．その結果，近年の急速な優占種変遷を，使用された薬剤に関連する理由のみで説明する事は困難と考えられた．ただ，本結論を断定するにはより詳細な調査が必要と考えられた．

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近畿地方で発見されたミツユビナミハダニの発育・増殖特性

小坪遊, 大橋和典, 高藤晃雄

2004 年 13 巻 1 号 p. 71-76
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.71

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近畿地方から発見され，新種として記載されたミツユビナミハダニの食性，発育速度および増殖能力を調べた．本種はナス科植物，特にナス属で高い生存率を示し，ナス科のスペシャリストであることが示唆された．また，卵から成虫までの雌の発育期間は8.85日，内的自然増加率は0.321/日であり，重要な農業害虫であるナミハダニやカンザワハダニを上回り，これまでに報告されたTetranychusの中で最も高い増殖力を有していた．これらは本種がナス科作物の重要害虫になる可能性があることを示唆している．

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短報

異なる栽培管理方式をもつ静岡県茶園におけるカブリダニの種類相（英文）

Sugeng SANTOSO, 高藤晃雄, 天野洋, 小澤朗人

2004 年 13 巻 1 号 p. 77-82
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.77

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鹿児島県北西部におけるマダニ類の季節消長

野田伸一, 山本進, 藤田博己

2004 年 13 巻 1 号 p. 83-86
発行日: 2004年
公開日: 2005/06/15

DOIhttps://doi.org/10.2300/acari.13.83

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To know the seasonal occurrence of ixodid ticks, we collected them by flagging on vegetation in the woods (mostly natural forest) of Mt. Kanmuri-dake, Kagoshima Prefecture, southern Japan, at a monthly interval from August in 1997 to July in 1998. Flagging was done at three sites by two persons for 30 min. per site. A total of 9,141 ticks (5,625 larvae, 2,671 nymphs and 845 adults) were collected and all were identified to the species level. Among the nine identified species, Haemaphysalis flava, H. formosensis, H. longicornis, H. hystricis, H. kitaokai, Ixodes ovatus, I. nipponensis, I. turdus, Amblyomma testudinarium, the two Haemaphysalis species, H. flava and H. formosensis, dominated and their seasonal occurrence could be examined. Both species were collected nearly all year round, but the adult seasons differed between the two species; adult increased from late autumn to winter in the former species but appeared two times, autumn and spring, in the later.

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