日本ダニ学会誌
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17 巻, 1 号
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原著
  • 高藤 晃雄, 日本 典秀
    2008 年 17 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2008/05/25
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
    台湾からインドネシアにかけて調査を行ったすべての地域でナミハダニTetranychus urticae(黄緑型)とカンザワハダニT. kanzawaiの分布が確認された.日本の暖地における発生と同様に,ナミハダニの分布は局地的で発生は栽培植物に限られた.わが国西南部から東南アジアにかけて発生するすべてのナミハダニ個体群の休眠性はいずれもきわめて弱かった.一方,カンザワハダニは東アジアではもっとも普通種で,栽培植物だけでなく野生植物でも発生が見られたが,東南アジアにおける発生は栽培植物に限られていた.休眠率が緯度の低下とともに低くなるナミハダニと異なり,カンザワハダニの休眠性の変異には一定の地理的傾向が見られなかった.韓国や中国中南部の個体群は,わが国の九州以北の個体群と同様に休眠性がきわめて強かった.一方,タイおよび琉球列島の個体群の休眠性は非常に低かった.逆に,熱帯のインドネシアやフィリッピンの個体群は強い休眠性を維持していた.また台湾では休眠性は個体群によって著しく異なった.これらの休眠性の変異を,分子遺伝マーカーによる解析結果(Hinomoto et al., 2001; Hinomoto et al., 2007a, b)と照らし合わせて,2種ハダニの分布拡大のプロセスについて言及した.
  • Mohammad Ali AKRAMI
    2008 年 17 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2008/05/25
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
    A new species of oribatid mite of the family Autognetidae Grandjean, 1960, Conchogneta iranica n. sp., is described from Mazandaran province, Northern Iran. Also an identification key to the Conchogneta species is given.
  • 古味 一洋, 荒川 良, 天野 洋
    2008 年 17 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2008/05/25
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
    タイリクヒメハナカメムシやククメリスカブリダニ等の天敵製剤を用いた害虫防除を行っている高知県内の果菜類栽培施設で,土着性カブリダニ類の発生を調査した.確認されたカブリダニ種は発生頻度の高い順に,ヘヤカブリダニ,ニセラーゴカブリダニ,コウズケカブリダニ,キイカブリダニなど9種であった.海岸平坦部の果菜類栽培施設では,ヘヤカブリダニとコウズケカブリダニが,中山間部の果菜類栽培施設では,ニセラーゴカブリダニの発生が多くみられた.さらに,ニセラーゴカブリダニ,コウズケカブリダニ,ミチノクカブリダニはナス類よりピーマン類で発生が多かった.以上のように,栽培地域や栽培作物が異なると発生するカブリダニ種が異なった.
  • 古味 一洋, 荒川 良, 天野 洋
    2008 年 17 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2008/05/25
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
    高知県の果菜類栽培施設で発生する土着カブリダニ6種(ヘヤカブリダニ,コウズケカブリダニ,ミチノクカブリダニ,サイタマカブリダニ,キイカブリダニ,ニセラーゴカブリダニ)および生物農薬資材として販売されているククメリスカブリダニの,ミナミキイロアザミウマ1齢幼虫に対する捕食能力を評価した.供試した土着カブリダニ6種のなかで,キイカブリダニの日当たり捕食量と産卵数が最も多く,3日間平均で,12.2頭,6.5卵であり,この値はククメリスカブリダニの3倍程度の高いものであった.また,ニセラーゴカブリダニの捕食量も5.8頭とククメリスカブリダニより多かった.以上の結果より,キイカブリダニとニセラーゴカブリダニはアザミウマ類の天敵として有望な種と考えられた.ヘヤカブリダニ,コウズケカブリダニ,ミチノクカブリダニ,サイタマカブリダニもミナミキイロアザミウマ1齢幼虫に対する捕食性が認められた.
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