日本ダニ学会誌
Online ISSN : 1880-2273
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27 巻, 2 号
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総説
原著
  • 伊藤 桂, 濱田 英里
    2018 年 27 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

    カシノキマタハダニ(Schizotetranychus brevisetossus Ehara)はアラカシの葉に寄生する.高知県土佐山田町では,メス成虫は11月上旬までに夏卵の生産を終え,数週間にわたり繁殖を停止した後,11月下旬あるいは12月上旬から翌3月頃にかけてオレンジ色の冬卵を産み続ける.本研究では冬卵生産直前(11月下旬)および開始直後(12月上旬)のメス成虫の産卵における日長感受性を調べるため,それぞれの時期に野外から採集したメス成虫を,15℃と25℃のいずれかの温度条件のもとで,異なる日長条件(10L:14D, 15L:9D)において16日間産卵させ,日長条件および温度条件・採集日が冬卵の生産に及ぼす影響を分析した.いずれの時期に採集された雌でも日長の効果は有意であり,特に25℃の高温条件では15L:9Dの長日条件における卵の生産数は著しく増加した.以上の結果は,冬卵を生産する時期のメスは日長条件に対する感受性が高まっていることを示唆している.これらの結果は,野外のメスが日長が増加する期間に冬卵を産み続けることと矛盾しない.

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