日本ダニ学会誌
Online ISSN : 1880-2273
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34 巻, 1 号
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原著
  • 島田 瑞穂, 土井 寛大, 山内 健生, 川端 寛樹, 安藤 秀二, 島野 智之
    2025 年34 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2025/05/25
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー

    2022年に,栃木県佐野市でイノシシとシカに寄生するマダニの調査を実施した.その結果,タカサゴキララマダニは,春には若虫が主体で,夏以降は雌雄成虫が主体となり,主にイノシシへの寄生が認められた.また,フタトゲチマダニは,春には若虫が主体で,夏はメス成虫が主体となり,主にシカへの寄生が認められた.冬に両動物への若虫と雌雄成虫の寄生が認められた種として,キチマダニとオオトゲチマダニが挙げられた.先行研究として行った足利市の調査と今回の佐野市における調査と合わせ,タカサゴキララマダニ雌雄成虫のイノシシへの高い宿主特異性が示された.今後も継続的に栃木県南部の両市にまたがる野生動物への寄生マダニの季節性とヒトにおけるマダニ刺症の関連を明らかすることは,同地域におけるマダニ媒介感染症の予防に資すると考える.

  • 島野 智之, 蛭田 眞平, 脇 司, アーチャルジャ= プラサッド=インドラ, カンデゥ= ペマ, ツエリング= ジグミ, ドルジ= ツエリ ...
    2025 年34 巻1 号 p. 11-22
    発行日: 2025/05/25
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー

    ブータン王国でマダニ属Ixodesの雌成虫の1個体がイヌより得られた.この個体は,形態形質に基づいてヤマトマダニIxodes ovatusと同定され,同国からマダニ属の種としての初記録となった.本個体からミトコンドリア16S rRNA遺伝子の部分配列(407 bp: LC498630)を得て,ML法を用いた系統解析を行った結果,本個体は中国雲南省で採集されたヤマトマダニ個体(OM317739)と比較的高い支持度(ブートストラップ値:85%)で分岐し,後者の配列が所属している,以前に報告されたヤマトマダニ種複合体のうちの1つのグループに属することが示された.

    過去の複数の報告では,中国四川省および雲南省で採集された個体から,別種に該当するほどの遺伝距離が大きい,いくつかのグループが示唆されており,本研究では系統解析により,これらのグループについても包括的に議論した.

    本研究ではブータンで採集した単一個体の短い配列データに基づくものの,雲南省の個体との遺伝的関係が明らかになった.本研究を南アジアから東アジアに広がる地域全体における今後の研究の必要性を示す予備的な報告とする.

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