日本ダニ学会誌
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4 巻, 2 号
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  • 斎藤 裕
    1995 年 4 巻 2 号 p. 55-67
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ハダニ亜科にみられる様々な生活型を社会生物学的な見方から再検討した結果,ハダニ類の多くが,多少とも社会性の萌芽と認められるような行動を示すことが判明した。もっとも単純な社会関係は,Eurytetranychiniに観察される卵網であった。Tetranychiniにおいては,社会関係を反映するとみられる様々な生活型が認められ,さらに,Parasocialすなわち発達した亜社会性がEotetranychusとSchizotetranychusのかなり多くの種に認められると判断された。
    最後に,ハダニの社会性の進化に関係してきたと考えられる環境,系統,生活史および行動の特性について論議した。
  • 坂田 知世, 田神 一美, 桑原 保正
    1995 年 4 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ササラダニ亜目ミズモンツキダニ(Hydronothrus crispus Aoki)の油腺分泌物を調べることを目的とし,キャピラリーカラムを用いたGLC及びGC/MS分析を行った。その結果,非炭化水素部分として2-ヒドロキシー6-メチルベンズアルデヒド,ネラール,ゲラニアール及び蟻酸ネリルが同定された。DMDS誘導体のGLC及びGC/MS分析から炭化水素成分としては,トリデカン,ペンタデカン,(Z)-7-ペンタデセン,(Z)-7-ヘプタデセン,(Z)-8-ヘプタデセン及び(Z,Z)-6,9-ヘプタデカジエンが含まれていることがわかった。これらの成分は,コナダニ類の後胴体部腺分泌物によく見られるものである。
  • 大久保 憲秀
    1995 年 4 巻 2 号 p. 77-89
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    日本から新属のカンムリヨスジダニ属Coronoquadroppiaと2新種ナミヨスジダニC. parallela (基準種),オウギヨスジダニC. expansaを記載した。ヨスジダニ科は本属とヨスジダニ属(Quadroppia和名改称)の2属から構成される。これまでに知られていた本科の22種3亜種を整理し,ヨスジダニ属から15種1亞種をカンムリヨスジダニ属に移した。
  • 北嶋 康樹, 後藤 哲雄
    1995 年 4 巻 2 号 p. 91-101
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ミカンハダニPanonychus citri(McGregor)には,モクセイ科植物への寄生性を異にする個体群が存在すると考えられているが,詳細な検討は行われていない。本研究では,ウンシュウミカン,イヌツゲ,キャラボク,キンモクセイおよびヒイラギモクセイに寄生する個体群を用いて,これらの寄主範囲と生殖和合性を調査し,5個体群が同一種であるのか,または別種であるのかを検討した。カンキツでは発育・産卵できるが,モクセイ科植物では発育できないウンシュウミカン,イヌツゲおよびキャラボク個体群(ミカン型)の寄主範囲は互いによく類似していた。モクセイ科植物で発育・産卵できるキンモクセイとヒイラギモクセイ個体群(モクセイ型)の寄主範囲は非常に良く似ており,ミカン型とは明らかに異なっていた。モクセイ型は,カンキツで発育できるが,産卵はほとんどしなかった。個体群内交配および型内の各個体群間の交配では,雌雄の子孫が出現して和合性を示した。ミカン型とモクセイ型の交配ではF1雌が出現するものの,ほとんどの雌は産卵しないか,産卵してもふ化率が著しく低く,明らかに不和合性を示した。このように,ミカンハダニは寄主植物を異にし,生殖的に隔離する少なくとも2種から構成されていると結論された。
  • 藤本 博明, 平松 高明
    1995 年 4 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    岡山県下のモモにおけるクワオオハダニとミカンハダニの発生状況を1992年から1994年にかけて調べた。また併せて,各地から得られた両種それぞれの個体群について主要殺ダニ剤に対する感受性を調べた。
    1. 両種ともに岡山県下のモモに広く分布し,両種の地理的分布の重なりが岡山県中南部を中心とした比較的広い範囲に及んでいることが明らかとなった。
    2. 両種混在地域内においては,クワオオハダニの休眠卵量はミカンハダニの多発が認められた園で少ない傾向を示した。
    3. クワオオハダニはいずれの個体群も供試した5薬剤(dicofol, hexythiazox , fenbutatin-oxide, fenpropathrin, pyridaben)に対して高い薬剤感受性を示したが,ミカンハダニは幾つかの個体群がhexythiazox, fenbutatin-oxideに対して顕著な感受性低下を示した。
  • 栗城 源一
    1995 年 4 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    谷地平のミズゴケ湿原におけるササラダニの最優占種,ヤチモンツキダニTrhypochthoniellus setosus Willmannの生活環を,1980-1982年の野外調査,および飼育成績から検討した。野外におけるステージ別の個体数と体長の季節変化,蔵卵率と雌体内の卵の発生過程の季節変化および成虫の生存率の季節的差異から,本種は年1世代で基本的に各ステージに1年を要すると推定された。繁殖は7-9月初旬に幼虫産下の卵胎生によって行われ,1雌の推定産仔数は5.0個体であった。各ステージの個体数が夏期に減少する要因について考察を加えた。
  • 山本 進, 野田 伸一
    1995 年 4 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Yamamoto, S. and S. Noda, 1995. Collecting records of trombicuhd mites in Kagoshima Prefecture in 1993and 1994. J, Acarol. Soc. Jpn., 4(2): 123-127. Surveys on the trombiculid mite distribution at 13sites of Kagoshima Prefecture where have remained unclear in our previous surveys were carried out from November 1993to December 1994. A total of 5, 822trombiculid mites consisting of five genera and 11 species were recovered from 65 Apodemus speciosus: Leptotrombidium scutellare, L. daisen, L. kurosio, L. pallidum, L. murotoense, L. kitasatoi, L. fuji, Neotrombicula japonica, Miyatrombicula kochiensis, Walchia ogatai, and Gahrliepia two L. himiz were recovered from one Urotrichus. Five species, L. scutellare, L. pallidum, L. kitasatoi, L. fuji and M. kochiiensis, were predominant as widely collected in 8 to 12 sites. In Yoshida-cho, four species, L. scutellare, L. palldium, L. kitasatoi and L. fuji, were collected by Tullgren's funnel method, and only L. scutellare was collected by plate method and black cloth method.
  • 1995 年 4 巻 2 号 p. 129-137
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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