日本ダニ学会誌
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7 巻, 2 号
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  • 野田 博明
    1998 年 7 巻 2 号 p. 83-98
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    節足動物には様々な微生物が共生しており,節足動物の生活にすくなからぬ影響を与えていることがある.昆虫では古くから細胞内に共生する微生物が観察されており(Buchner, 1965参照),ダニでも90年も前に細胞内の微生物が観察されている(Roshdy, 1961参照).また,Cowdry(1925)は,病気を起こさず世代を経て伝わるマダニの微生物について報告している.これまで,病原性の微生物については報告も多いが,病原性を示さない微生物については十分研究されているとは言えない.
    本総説では,ダニの細胞内に生息する微生物,特に非病原性の微生物に焦点を当てながら,ダニと微生物との関係について概観したい.なお,共生とは一般に相利共生(mutualism),片利共生(commensalism),寄生(parasitism)を含むとされており,ここでも比較的広い意味で共生という言葉を用いる.すなわち,相利共生関係が示されていないものでも共生微生物として扱っている.
  • 江波 義成, 青木 淳一
    1998 年 7 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    北海道釧路湿原より採集されたジュズダニ属の新種を記載し,アイヌジュズダニ(新称)Damaeus ainu sp. n. と命名した.本種は,II-IV脚脛節の単条毛φ に痕跡的な背脛毛dが付随して生じることと前体部後側方に肩域器官(humeral organ)が開口していることにおいて,Damaeus arvernensis Grandjean,1960に似るが,基節板毛式ならび歩脚毛式,背板形態の違いにより区別される.
  • 柴尾 学, 田中 寛
    1998 年 7 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大阪府藤井寺市のイチジク圃場においてイチジクモンサビダニの薬剤による防除効果と防除適期を1996年および1997年に調査した.室内検定により本種に対して殺虫効果が認められた殺ダニ剤および殺菌剤のうち,テブフェンピラド水和剤,ピリダベン水和剤,チオファネートメチル水和剤では圃場における本種の密度抑制効果が高かったが,ケルセン乳剤およびオキサジキシル・銅水和剤では低く,室内検定と圃場試験の結果は異なっていた.また,圃場において異なる時期に薬剤を散布したところ,7月中旬の散布が最も効果的に本種の生息密度を抑制し,葉および果実のモザイク症状被害も防止できることが示された.したがって,7月中旬にテブフェンピラド水和剤,ピリダベン水和剤,チオファネートメチル水和剤を散布することで効果的に本種を防除できると考えられる.
  • 橋本 知幸, 田中 生男, 田島 文忠
    1998 年 7 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    東京近郊の5住宅で,新しいタイルカーペットを敷き詰め,所定期間使用した後に調査対象とした部分だけを回収し,屋内塵の蓄積やダニ相の変遷を調査した.細塵量およびダニ総数は使用開始から約12か月の範囲では,使用期間の長期化に伴って増加する傾向が認められた.しかし細塵量は,使用開始から1か月間での蓄積量と,数ヶ月使用したカーペットの,1か月間当たりの平均蓄積量は,前者のほうが多くなる傾向があり,カーペット使用開始初期は細塵の蓄積量が多くなる傾向が認められた.毎月交換した1か月区カーペットでは,ダニ総数やコナヒョウヒダニ(Df)とヤケヒョウヒダニ(Dp)の種構成の推移が,同じ社員寮の中の2戸の住宅で類似するケースが見られたが,5住宅に共通する季節消長は認められなかった.回収された大半のカーペットのダニ相はDfまたはDpが優占種となった.また使用開始から1か月では,ダニ総数は少ないものの,チリダニ優占のダニ相で安定することが示唆された.しかしDfとDpの優占順位は住宅あるいは回収月によって変動し,この2種の種間競争はカーペットの使用歴に影響されないことが示唆された.
  • 武田 富美子, 當間 孝子, 宮城 一郎
    1998 年 7 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    沖縄県内の床の塵中ダニについては,従来2.Ommまたは0.5mmメッシュと0.075mmメッシュのふるいを使ってダニを分離した結果が報告されてきた.今回はTarsonemus属のような小型のダニを逃がさないために0.032mmメッシュのふるいを加え,沖縄県内の3軒の家(A,B,C)から寝室床の塵を採集し各種ダニの出現頻度と出現数を調査した.ヤケヒョウヒダニDermatophagoides pteronyssinusが優占種で,総ダニ数の43.4%であったが,Tarsonemus属のホコリダニTarsonemus spp. は23.4%, Tarsonemus属同様小型のミジンイレコダニCryptoplophora absconditaも12.1%を占めることを確認した.室内塵中から多数のミジンイレコダニが報告されたのはこれが初めてである.ヤケヒョウヒダニ,ホソツメダニCheyletus eruditus,Bak属のツメダニBak sp., イエササラダニHaplochthonius simplex,カザリヒワダニCosmochthonius reticulatus,ミジンイレコダニおよびTarsonemus属のホコリダニは,年間を通して検出された.また,Cosmoglyphus sp. はこれまで日本の室内塵中からの報告はなかったが,Cの寝室床の5月には総ダニ数の22.2%を占めた.
  • 一澤 圭, 青木 淳一
    1998 年 7 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    神奈川県内の建物屋上に水盤トラップを設置し,風で飛ばされてくるササラダニとトビムシを捕獲していたところ,アラメマブカダニ属(新称)Cosmopirnodusの1新種が得られ,アラメマブカダニ(新称)Cosmopirnodus angulatus sp. n. と命名し記載した.本種はC. tridactylus Mahunka, 1988によく似ているが,第2股条が短く左右のそれが接していないこと,後体部肩部と翼状突起の角がより突出し,全体に角張った体型であること,背毛が短く,tiがteの毛穴に届かないこと,肛毛,肛側毛が短く,肛側毛が肛毛の毛穴に届かないことなどによって区別される.なお,本属の種の分類学的な報告は本邦初である.
  • 藤本 和義
    1998 年 7 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 矢野 泰弘, 高田 伸弘, 大槻 典夫, 坂井 秀彰, 今村 好章, 増沢 俊幸
    1998 年 7 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    We experienced two cases of multi-infestation with larval ticks in human. One case was caused by Amblyomma testudinarium larvae and another was by Haemaphysalis longicornis. Only6cases of larval tick infestation have been reported in Japan. We should pay more attention to the important role of larval tick as a vector.
  • 1998 年 7 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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