本研究では, フィラーを含有していない接着材 (SB) とフィラーを含有する接着材 (PV) を対象に, 双片持はり (DCB) 試験を応用し, 定変位の繰返し負荷下における疲労き裂進展挙動について, き裂進展面の形態学的観察を踏まえて検討した。得られた主な結果は次の通りである。疲労き裂進展過程における
Pmax/[
Pmax]
o-
n線図, いわゆる疲労き裂進展挙動は, SBとPVとでは特徴的な傾向を示した。SBでは, 負荷レベル (κ=0.5, 0.6, 0.7) に関係なく,
Pmax/[
Pmax]
o値が0.95近傍で急速に低下する傾向が認められたが, κ=0.3, 0.4では, 荷重の低下はn=10
5回まで認められなかった。PVでは, すべての負荷レベル (κ=0.7, 0.8, 0.9, 0.95) において, 全体的に緩やかな
Pmax/[
Pmax]
o-
n線図として示された。疲労き裂進展面は, SBでは, 静的での凹凸の著しい破壊様相とは異なり, 平坦的な破壊様相として観察され, κ値の小さいほどその平坦的な領域が支配的となっていた。しかし, κ=0.3, 0.4では, 疲労き裂進展領域は認められなかった。PVでは, すべての負荷レベルにおいて, その破壊様相は静的の場合と同様であり, うねりの小さいき裂進展面として示された。
抄録全体を表示