接着歯学
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19 巻, 2 号
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  • 野坂 久美子, 佐藤 輝子, 阿部 英一, 濤岡 暁子
    2001 年 19 巻 2 号 p. 77-93
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    第二乳臼歯へのCRインレーの適合性を知る目的で, 抜去乳臼歯に2級の種々の窩洞を形成後, 2つの石膏模型を作成した.1つは窩洞形態の検索に, 一方はCRインレー (クラレ社製) の作成に用いた.その後, ボンディング材の併用下でCRセメントで合着し, 窩縁からの微少漏洩ならびにセメント層の厚さから, CRインレーの窩洞適合性を検討した.その結果, 窩洞内の各隅角部はラウンド形態で, その角度は約115~135度, 咬合面に対する頬舌側壁は65~70度であった.微少漏洩は, ベベル付与で多く, 部位は, 髄壁から軸壁, 歯肉壁にかけての隅角部であった.さらに, インレー体が厚い (1.7mm以上) かセメント層の厚い部位で漏洩が多かった.また, スライスカットの方がボックス型よりもセメント層は厚かった.以上から, 各隅角がゆるやかで, 窩縁がバットジョイント, また, 窩洞の深さが咬合面中央で, 1.3~1.5mm以下で, ボックス型の隣接面を有する窩洞が適合性のよい形態と考えられた.
  • その1.健全象牙質の弾性変形
    若狭 邦男, 佐野 英彦
    2001 年 19 巻 2 号 p. 94-101
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    象牙質のmicro-tensile試験について, その弾性変形領域での挙動を明らかにするために象牙質をcompositeとして扱うことにした.はじめに, 接着試験で検討されるせん断試験と引張試験の意味を考え, 次に通常行われている試験方法での強さの意味を検討して, さらに近年行われている被着面積 (bonded area) を限定した試験方法の意味も明らかにして, 第三にはmicrotensile bond試験と同様な試験片サイズを使用して得られる応力とひずみの関係を正確に求めた.
    以上より直接dentine matrixのEm値が求められなくても, dentinal tubuleを含むcompositeとしての値を予想して計算することができた.さらに, dentinal tubuleを含む象牙質の挙動を検討できたので, 応力の方向とdentinal tubuleの方向が強さに与える影響も検討することができる, と推測される.
  • 海野 亜由子, 吉川 孝子, 山口 佐緒理, 田上 順次
    2001 年 19 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    光重合型コンポジットレジンは, 今日広く歯科臨床に用いられている.しかしながら, 重合が急激に進むため, 窩壁適合性が化学重合型レジンに比べ劣るという欠点を有している.近年, 光重合型レジンにおいても, 始めは弱く次に強く光照射を行うStep照射のSlow-start curing法により重合すると, 重合収縮応力が緩和され, レジン修復物の辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性が良好となることが報告されている.これらの研究を基に, 出力漸増型の光照射法が行える光照射器が開発された.そこで, 牛歯唇側象牙質窩洞に, 出力漸増型のSlow-start curing法 (Ramp照射法) と通常の照射法により修復された光重合型レジン修復物の辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性を色素浸透試験により評価し, さらに, これら照射法によるレジンの重合挙動について検討を行った.
    出力漸増型光照射法は, 光重合型レジン修復物の辺縁封鎖性を向上させることが判明した.また, 本照射法による窩底部レジンの重合促進効果が示された.
  • 千頭 佳奈, 土居 潤一, 山田 登美子, 西谷 佳浩, 伊東 孝介, 鳥井 康弘, 吉山 昌宏
    2001 年 19 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    根面う蝕象牙質へのModified-sealed restoration (MSR) の臨床応用の可能性を検討するため, フロアブルレジンの根面う蝕象牙質への接着強さの測定を行い, SEM観察した.フロアブルレジンとしてはPALFIQUE ESTELITE LV, waveおよび試作レジンFASMY10を用い, 接着システムとしては, それぞれOne-up Bond F, stae, UniFil Bondを用いた.被着体は, 根面う蝕を有する人歯とし, 中央に淡ピンク染部を周囲に健全象牙質が露出するように調整を行った.フロアブルレジンをそれぞれの接着システムにて接着させ, Micro-tensile bond strength (MTBS) を測定した.SEM観察も行った.MTBS測定の結果, いずれの接着システムにおいても健全象牙質では, 高い接着強さを示したが, 根面う蝕象牙質に対する接着強さは, 歯冠部健全象牙質に比べて有意に低下した.SEM観察結果からは, 健全象牙質においては樹脂含浸層を形成していたが, 根面う蝕象牙質では明瞭な樹脂含浸層は認められなかった.なお, 接着界面下には細菌様構造物が封じ込められていた.
    以上の結果から, MSRを確立するためにはう蝕象牙質への接着性の改善が必要と考えられた.
  • 高野 由佳, 二階堂 徹, 田上 順次
    2001 年 19 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンインレーやポーセレンインレー等の間接修復を行う際, 窩洞形成後, 印象採得直前に窩洞形成面にボンディング材と低粘性コンポジットレジンを塗布し, 歯質と接着させる方法 (以下レジンコーティング法と称す) が注目されている.本報では2種類のレジンコーティング材料表面に, 寒天印象材とシリコーンラバー印象材 (縮合型, 付加型) とを用いて印象採得した後のコーティング面と印象面およびそれによって作成した模型材表面を肉眼的およびSEM観察し, 印象材がコーティング面に及ぼす影響について検討した.その結果, 寒天印象材で印象採得を行った場合, 最も滑沢なコーティング面と模型面が得られた.一方, シリコーンラバー印象材の場合, 縮合型ではほとんど影響は認められなかったが, 付加型を用いた場合, アルコール綿球による清拭の有無に関わらず, コーティング面に印象材が付着し, 得られた石膏模型表面にも面粗れが観察された.さらに用いたコーティング材の種類による影響の違いも認められた.以上よりレジンコーティング法を応用した間接修復では印象材として寒天印象材が最も好ましいことがわかった.
  • 次亜塩素酸ナトリウム水溶液への増粘剤添加の効果
    峯 篤史, 藤田 栄伸, 渡辺 和美, 大西 栄史, 金島 拓史, 矢谷 博文
    2001 年 19 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    われわれはこれまでに, 酸エッチング後に有機質溶解剤である10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い, 象牙質表面に露出したコラーゲンを除去することにより, 接着性レジンセメントと歯根部深層象牙質の接着強さおよび接着耐久性が向上することを確認している.一方, 臨床においては, 操作性向上のために増粘剤を添加した10%次亜塩素酸ナトリウムゲルが開発され, 市販されている.しかし, これをそのまま根管内の深層象牙質の表面処理に使用した場合の効果は十分検討されていない.そこで, 歯根部深層象牙質に対する次亜塩素酸ナトリウムの水溶液とゲルの処理効果を比較検討した.
    リン酸処理に続いて次亜塩素酸処理を行った牛歯根部根管側象牙質を被着面として, 接着性レジンに対する初期およびサーマルサイクル5,000, 10,000回後の勇断接着強さの測定とSEM観察を行った.その結果, ゲルの処理では処理時間を増加しても有機質を十分に除去できず, 接着耐久性が低下した.よって臨床において歯根部根管内象牙質を対象として表面処理を行う場合, 次亜塩素酸ナトリウムゲルよりも水溶液の方が効果的であることが示唆された.
  • 水谷 晃彦, 堀田 訓子, 石川 博之, 伊東 隆三, 福島 忠男, 宮崎 光治, 井上 勇介
    2001 年 19 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    矯正用化学重合型グラスアイオノマーセメントのエナメル質への接着性に及ぼす各種汚染の影響を検討するために, 無処理, および酸処理汚染エナメル質への接着強さを測定した.無処理エナメル質では水, 唾液, 血液汚染の条件下での接着強さは各々10.9, 12.3, 7.2MPaでコントロールの15.1MPaに比べて有意に低く, 酸処理エナメル質では水, 唾液, 血液汚染の条件下での接着強さは各々17.2, 16.7, 9.4MPaでコントロールの19.9MPaに比べて有意に低かった. また, 血液汚染は酸処理の有無に関わらず, 水, 唾液汚染よりも接着強さを有意に低下させた. これらの汚染は化学重合型グラスアイオノマーセメントの接着強さを減少させるが, 得られた 接着強さは臨床で必要とされる値と近似していた.接着試験後の破壊像はコントロール, 水, 唾液汚染では無処理エナメル質においてはエナメル質およびブラケットベースでの界面破壊の混合が, 酸処理エナメル質においてはブラケットベースでの界面破壊が認められた.血液汚染では酸処理の有無に関わらずグラスアイオノマーセメント内での凝集破壊が認められた.これらの結果から, 化学重合型グラスアイオノマーセメントは矯正臨床での使用が可能であることが明らかになった.
  • 諸星 裕夫
    2001 年 19 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
  • 白く, 美しく
    猪越 重久
    2001 年 19 巻 2 号 p. 148-150
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
  • スーパーボンドについて
    中村 光夫
    2001 年 19 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
  • 生体に優しい歯科治療を目指して
    高橋 英登
    2001 年 19 巻 2 号 p. 158-169
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
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