接着歯学
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24 巻, 2 号
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  • 趙 暁華, 吉山 昌宏
    2006 年 24 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2006/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    本研究では, フッ素徐放性ワンステップ接着システムのう蝕象牙質への接着性について検討した.咬合面う蝕を有するヒト臼歯20本を用いて, う蝕検知液で染色した後被着面を作製し, 染色程度の違いにより健全象牙質部, う蝕影響象牙質部およびう蝕感染象牙質部に分類した.10本の被着面に対してフルオロボンドシェイクワン (FB, 松風), コントロールとしてリアクトマーボンド (RB, 松風) を用いて業者指示に従って歯面処理を行い, 接着試料体を作製した.24時間水中保管後連続切片を作製し, 微小引張り接着強さを測定した.その結果, FBおよびRBともに各象牙質における接着強さに有意差は認められなかった.両接着システムとも健全象牙質に対する接着強さが最も高い値を示した.接着界面のSEM観察では, 両接着システムにおいて, 健全象牙質では1μmの緻密な樹脂含浸層, う蝕象牙質では粗槌な樹脂含浸層が観察された.接着耐久性試験結果から, 10,000回までサーマルサイクリングを施しても, FBはRBと同等の接着強さを示し, また両者とも接着強さの減少は認められなかった.以上より, FBの接着強さは従来のワンステップ接着システムであるRBと同等である.
  • 伊藤 修一, 斎藤 隆史
    2006 年 24 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2006/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 象牙質接着システムにおけるコラゲナーゼの影響を微小引張り接着強さの測定を用いて調べることである.試料は50本のヒト抜去大臼歯を用いた.ワンステップ接着システムとしてiBond (iB, Heraeus Kulzer), トータルエッチングシステムとしてOne Step Plus (OSP, Bisco) を用い, メーカーの指示どおりに象牙質に塗布した.OSPは, エッチングを15秒あるいは60秒処理した後, ボンディング材を塗布した.24時間後, 試料断面が0.9mm2になるように調製し, 1, 14, 30日間0.006%のコラゲナーゼ溶液, またはリン酸緩衝溶液 (コントロール溶液)(37QC) に浸漬し, 微小引張り接着強さの測定を行った.OSPのコラゲナーゼ溶液浸漬30日後の接着強さは, コントロール溶液浸漬と比較して, 15秒エッチングでは接着強さに有意な差は認められないものの, 60秒エッチングでは有意に低くなった.iBにおいては, コントロール溶液浸漬群とコラゲナーゼ浸漬群の接着強さに有意差は認められなかった.
    本研究の結果から, コラゲナーゼ溶液浸漬は, オーバーエッチングしたOSPの接着強さに影響を与えることが明らかになった.
  • 池田 考績, 井上 哲, 中沖 靖子, 佐野 英彦
    2006 年 24 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 2006/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    歯質接着システムにおいて, ボンディング材の機械的強度が高い場合に高い接着性能が発揮されることが報告されてきた.臨床上, 接着操作直後の接着性能も重要であり, この時期のボンディング材の強度を知る必要がある。本研究の目的は, ボンディング材の光照射直後の引張り強さを評価することである.3種の2ステップセルフエッチングシステム, クリアフィルメガボンド (MB), フルオロボンド (FB) およびユニフィルボンド (UB) のボンディング材を使用した.引張り強さは, ボンディング材への光照射直後, コンポジットレジンへの光照射直後および24時間経過後の3つの段階で評価した.その結果, ボンディング材の引張り強さは, MBが最大で, 以下FB, UBの順であった.3つの段階での比較では, ボンディング材への光照射後, コンポジットレジンへの光照射後, 24時間経過後の順に大きくなった.ボンディング材への光照射直後では, 重合が十分に進行しておらず, コンポジットレジンへの光照射やpost irradiation hardeningにより重合が進行し, 引張り強さが大きくなったと考えられる.
  • 第1報特に基礎物性および曲げ特性について
    高見澤 俊樹, 山口 佳奈子, 植草 智史, 前田 徹, 渡邉 孝行, 森 健太郎, 吉田 武史, 色川 敦士, 宮崎 真至
    2006 年 24 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2006/08/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    暫間修復処置は, 最終修復物が装着されるまでの期間に機能, 審美および周囲軟組織との調和を図る目的で行われている.この目的から, PMMAを基材とした材料以外にも無機フィラーを添加したペーストタイプの暫間修復材が開発, 市販されている.このペーストタイプの暫間修復材は, MMA系レジンと比較して重合時の収縮および発熱が低減化されるとともに, その操作性あるいは機械的性質の向上が期待されているが, その詳細は不明である.そこで, ペースト系レジンの曲げ特性について検討するとともに無機フィラー含有量, 熱膨張係数および吸水量の測定を行い, これをPMMA系レジンと比較した.その結果, 無機フィラー含有量は0.1~52.2wt%, 熱膨張係数は75.4~102.0×10-6/℃, 吸水量は15.2~23.5μg/mm3の範囲を示した.曲げ強さは54.1~82.3MPa, 曲げ弾性率は1.60~3.24GPaを示した.また, SEM観察からペースト系レジンのフィラー性状は, 異なるサイズの不定形を呈していた.
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