本研究の目的は, 象牙質接着システムにおけるコラゲナーゼの影響を微小引張り接着強さの測定を用いて調べることである.試料は50本のヒト抜去大臼歯を用いた.ワンステップ接着システムとしてiBond (iB, Heraeus Kulzer), トータルエッチングシステムとしてOne Step Plus (OSP, Bisco) を用い, メーカーの指示どおりに象牙質に塗布した.OSPは, エッチングを15秒あるいは60秒処理した後, ボンディング材を塗布した.24時間後, 試料断面が0.9mm
2になるように調製し, 1, 14, 30日間0.006%のコラゲナーゼ溶液, またはリン酸緩衝溶液 (コントロール溶液)(37QC) に浸漬し, 微小引張り接着強さの測定を行った.OSPのコラゲナーゼ溶液浸漬30日後の接着強さは, コントロール溶液浸漬と比較して, 15秒エッチングでは接着強さに有意な差は認められないものの, 60秒エッチングでは有意に低くなった.iBにおいては, コントロール溶液浸漬群とコラゲナーゼ浸漬群の接着強さに有意差は認められなかった.
本研究の結果から, コラゲナーゼ溶液浸漬は, オーバーエッチングしたOSPの接着強さに影響を与えることが明らかになった.
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