デンツプライ三金社により象牙質代替用フロアブルレジン“SDR”が発売された.本研究の目的は,レジン硬化物
のフィラー分散およびボンディング材Xeno JP と併用した場合のエナメル質,象牙質および修復用ペーストレジン
ESTHET・X HD との接合界面についてAr イオンエッチング法を応用し,FE-SEM 観察を行うことである.ヒト新
鮮抜去臼歯の歯冠を歯軸に垂直に切断し,#1,000 の耐水シリコンカーバイドペーパーにて仕上げした面をエナメル
質および象牙質の被着面とした.この被着面に対して,Xeno JP 処理を施した後,SDR をうすく築盛して業者指示に
従い光照射し,重合させた.さらにESTHET・X HD を築盛して光照射し,重合させた.通法に従って試料を半切
し,エポキシレジンにより包埋した.1週間後に,この試料を耐水シリコンカーバイドペーパーおよびダイヤモンド
ペーストを用いて鏡面研磨し,Ar イオンエッチングを35 秒間施してからFE-SEM にて観察した.FE-SEM 観察の
結果より,SDR には最大径10 μm のフルオロアルミノシリケートガラスと思われるフィラーを緻密に配合している
ことが明らかとなった.また,SDR,ボンディング材,エナメル質および象牙質の界面は,いずれも緊密な接合状態
を示し,さらにSDR とESTHET・X HD との界面も緊密な接合状態を示した.SDR は歯質および修復用レジンに対
して良好な接合状態を示したことから,SDR は象牙質代替用フロアブルレジンとして有望であると思われた.
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