本研究の目的は,3D-printed denture用人工歯材料に対する歯冠色常温重合レジンの剪断接着強さに及ぼすポストキュアとアルミナブラスト処理の影響を明らかにすることである.3D-printed denture用人工歯材料を用いて円柱状試料を製作した.初めにポストキュア群と非ポストキュア群に分けて常温重合レジンを接着し,剪断接着試験を行い剪断接着強さを計測した(n=10).次にポストキュアを行った残りの試料に対して10,000回の水中熱サイクルを行った.粒径(50 μmもしくは110 μm)および噴射圧(0.2 MPaもしくは 0.4 MPa)が異なる4群に分け,表面処理後,被着面に常温重合レジンを接着し,更に10,000回の水中熱サイクルを行った.その後,万能試験機を用いて剪断接着強さを測定した(n=10).その結果,ポストキュアの有無で有意差は認められなかった.粒径および噴射圧の両方に有意差を認め,粒径110 μmが50 μmより有意に高く,噴射圧0.4 MPaが0.2 MPaより有意に高い値を示した.以上の結果から,ポストキュア後の3D-printed denture用人工歯材料への常温重合レジンの剪断接着強さを向上させるためには,粒径110 μmおよび噴射圧0.4 MPaの条件でアルミナブラスト処理を行うことが効果的であることが示唆された.
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