日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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36 巻, 2 号
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総説
研究論文
  • 松田  聡, 北條 正樹, 村上 惇, 落合 庄治郞, 森谷 潔, 秋元 英郎, 安藤 正人
    2000 年 36 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
      高じん性の熱可塑性樹脂,アイオノマーをインターリーフした炭素繊維/エポキシ積層板について,モードⅡ層間破壊じん性に及ぼすアイオノマー挿入およびその厚さの効果について調べた。 挿入したアイオノマーフィルムの厚さは,25.100および200μmとした。 端面切欠き曲げ試験片を用いてモードⅡ破壊じん性試験を行った結果から,破壊機構について検討し,これまで明らかになっているモードIの結果と比較した。 アイオノマーを挿入することより,モードⅡ破壊じん性値は大幅に上昇した。 アイオノマー厚さの増加とともに破壊じん性値は線形的に上昇し,アイオノマー層の有無が主に破壊じん性に寄与するモードIとは異なることが明らかとなった。 微視観察から,すべてのアイオノマー厚 さの試験片について,き裂が高じん化された層内を伝ぱすること,アイオノマーの塑性変形が顕著に生じることがわかった。 さらに,アイオノマーの塑性変形が試験片厚さ方向全域にわたって生じることが明らかとなり,破壊じん性の厚さ依存性が塑性変形域の大きさと関連づけて説明することができた。
  • 中村 吉伸, 永田 員也, 吉本 規寿, 奥村 浩史, 岡部 誠司, 児子 英之, 飯田 健郎
    2000 年 36 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    ガラスビーズ充てんポリ塩化ビニルの降伏強度に及ぼすシランカップリング剤処理の影響について検討した。 γ - アミノプロピルメチルジエトキシシランを用い,ビーズを単分子層で被覆するのに必要な量を計算によって求め,この0.5から10倍の量で水媒体で処理した。 処理ビーズ表面の未反応のシランを除くためにメタノールで洗浄した。 処理後そのままとメタノール洗浄後のビーズのカーボン分析から反応率を求め,両方の処理ビーズを充填した樹脂を作製し,その降伏強度を比較した。 その結果,シラン処理によって降伏強度は改善され,単分子層被覆に必要と考えられるシランの量までは処理量の増加に伴って降伏強度は増加したが,それ以上のシラン量でも同程度であった。 また,粒子表面上存に在する未反応のシランによって降伏強度の改善が抑制されることが分った。
  • 正岡 弘, 幸本 重男, 山本 忠
    2000 年 36 巻 2 号 p. 62-69
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     シリカ充填アクリル系コンポジットの強靭化を目的とし,多層構造を持つコア/シェル粒子及び反応性液状ゴムをそれぞれ添加し,強靭性に及ぼす影響を評価した。 コア/シェル粒子はアクリル樹脂を強靭化するための添加剤であるが,該コンポジットにおいては補強効果は見られなかった。 一方,反応性液状ゴムは該コンポジットの耐衝撃性を向上させた。 この違いを破壊界面に見出し,SEM 観察及び SEM-EDX 元素分析により解析した。 コア/シェル粒子を添加したものは添加剤を含まないコンポジットと同様にシリカ/アクリル樹脂界面での破壊が見られたのに対し,反応性液状ゴムを添加したものはその添加量に応じ,破壊界面がシリカ/アクリル樹脂界面からアクリル樹脂内部へ移動した。 これは反応性液状ゴムによる充填剤 / 樹脂界面の接着力の増大が原因と考えられる。 また,マトリックスであるアクリル樹脂の凝集破壊はシリカ/アクリル樹脂の界面剥離に比べ多くのエネルギーを要することから衝撃強度が向上したものと考えられる。 このように充填剤/マトリックスが十分な密着性を持つ系において,マトリックス樹脂をさらに強靭化すれば,破壊は強靭化されたマトリックス内部で進行するため,耐衝撃性を相乗的に向上させることができると予測し,コア/シェル粒子を反応性液状ゴムを含有するコンポジットに添加しその効果を確認した。
  • 中川 文人, 沢 俊行, 仲野 雄一, 勝尾 正秀
    2000 年 36 巻 2 号 p. 70-76
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究では一様温度変化を受けるスカーフ接着継手内部の熱応力を光弾性法と有限要素法を用いて検討した。 被着体はアルミ板,接着層はエポキシ樹脂板でモデル化して製作した。 被着体とエポキシ樹脂板を熱硬化性エポキシ樹脂系接着剤を用いて,高温で熱硬化させ室温まで冷却した。 エポキシ樹脂板内部の熱応力は光弾性実験により測定した。 その後スカーフ接着継手を冷却し,界面端部から生じるはく離を観察した。 界面端部からのはく離は,接着層側の鋭角側から起こり鈍角側からは起こら ないことを確認し,さらにスカーフ角が90度の時が最もはく離に対し強度が小さいことがわかった。 接着界面端部付近の応力分布を用いて応力特異性について検討し,静的荷重と熱的荷重が作用する場合の応力特異性がそれぞれ異なることを明らかにした。
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