日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
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36 巻, 4 号
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総説
技術論文
研究論文
  • 河合 晃
    2000 年 36 巻 4 号 p. 131-135
    発行日: 2000/04/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    原子間力顕微鏡 (AFM) を用いることにより,固体表面間の相互作用力の直接測定が可能になる。 しかし,原子レベルで平坦な基板はマイカやグラファイトのへき開などでしか得られず,殆どの固体表面は表面粗さ (Rms) に代表されるような微小な凹凸を有している。 また,通常の大気中では水蒸気が固体表面に吸着しており,AFM の探針と基板間にメニスカスが形成されてラプラス力が働くよう になる。 一般に,球/平面間の吸着式としては,F = 4πRγ で表わされる Derjaguin 近似が代表的である。 本報では,薄膜の表面粗さ (Rms) を 0.25~12.8nm の範囲,γ を 40~69mJ/m2, 相対湿度を 4%と 40%に変化させて,微細探針の吸着力に及ぼす各要因の影響を考察した。 その結果,これらの範囲においては,薄膜の表面粗さが吸着力測定に最も影響することが分かった。 AFM を用いて固体表面の吸着力測定を精度高く行うためには,固体の表面粗さを少なくとも 3nm 程度に抑えること,あるいは表面粗さ効果を補正することが重要になる。
  • 田口 広一, 稲場 徹, 竹内 豊
    2000 年 36 巻 4 号 p. 136-143
    発行日: 2000/04/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    アクリル基を有する酸性リン酸化合物の接着界面における密着性向上の効果及び,被着体金属との相互作用について検討を行った。 その結果,以下のことが明らかになった。・ アクリル基を有する酸性リン酸化合物をプライマーとして鉄,ステンレス,アルミニウムに塗布することで接着強度が向上し,破壊状態が凝集破壊になる。・ XPS測定でアクリル基を有する酸性リン酸化合物は,接着界面において金属とリン酸基が反応し,イオン的な強い結合を形成していることが推定された。・ また,この結合は金属表面の酸化物層の有無に関係なく,形成される。・ 角度分解 XPS 測定でアクリル基を有する酸性リン酸化合物のアクリル基は,表面近傍に多く存在していることが推定された。・ アクリル基を有する酸性リン酸化合物は,接着界面において金属とリン酸基が反応している。 一方,最表面側を向いたアクリル基は,アクリル系接着剤の硬化時の重合反応で結合されることが期待できるので,接着強度の向上と破壊状態が改善されると推定された。
技術論文
  • 古川 信之, 湯浅 正敏, 大森 史博
    2000 年 36 巻 4 号 p. 144-150
    発行日: 2000/04/01
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    ポリシロキサン鎖にアルコキシシリル基を含有するポリシロキサン-block-ポリイミドを合成し,その熱機械的特性および密着性について検討を行った。 このポリマーは,塗膜形成過程において,アルコキシシリル基の加水分解重縮合反応が進行し,極性有機溶剤に対して不溶であった。 この架橋反応は,ポリシロキサン鎖で進行するため,ポリシロキサン含有率が多いほど架橋密度が高くなり,また,ポリシロキサン含有率で架橋密度は,大きく異なると考えられる。 ポリシロキサン含有率50wt% のポリマーでは,架橋反応していないポリマーと比較して,引張弾性率が大きくなり,ガラス転移温度以下の熱膨張係数,ガラス転移以上での熱膨張率ともに低下した。 また,ポリシロキサン鎖のアルコキシシリル基の架橋により熱分解温度は,大幅に向上することが明らかになった。 さらにこの樹脂をガラス基板上に塗布した後,その塗膜の密着性について評価を行ったところ,耐熱密着性,耐湿密着性ともに優れていた。
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