疎水ユニットのポリプロピレン(PP)と極性ユニットとしてカルボン酸官能基を有したポリアクリレートとからなるブロックポリマー(ジブロックポリマー:分子量17,000,PPブロック:ポリアクリレートブロック=10,000:7,000)に水酸化マグネシウム(Mg(OH)2).水酸化アルミニウム(Al(OH),アルミナ,シリカ,タルク,炭酸カルシウム(CaCO3)などの表面化学特性の異なるフィラーとのコンパウンドをトルエン溶媒湿式法で調製した。得られたコンパウンドの動的粘弾性を測定した結果,Mg(OH)2,Al(OH)3,アルミナ,CaCO3,などのアルカリ性表面を持つフイラーではジブロツクポリマー のtanδピーク温度温度は10℃以上高温側にシフトしたが,シリカ,タルクのtanδピーク温度温度はほとんど変化しなかった。ジブロックポリマーで表面改質したMg(OH)2,CaCO3,タルクなどのフィラーをPPに30wt%充填し,得られた複合材料の力学特性を測定した。Mg(OH)2,CaCO3などのアルカリ性表面を持つフィラー充填複合材料ではジブロックポリマー添加にともない弾性率は徐々に低下し,降伏強度は表面改質量増加にともない3wt%付近まで増加し,それ以降一定となった。一方,タルク充填フィラーではジブロックポリマーの添加によりこれら力学特性はほとんど変化しなかった。以上の結果から,マトリックス/フィラー界面の相溶化剤が強固な界面層を形成するためには疎水鎖がマトリックスと同様の構造を有しているだけではなく,親水鎖の官能基であるカルボン酸とフィラー表面の相互作用も重要な因子であることが明らかとなり,動的粘弾性の結果と一致していた。
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