日本接着学会誌
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41 巻, 12 号
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総説
総説
技術論文
  • 土井 幸夫, 沖野 義郎
    2005 年 41 巻 12 号 p. 507-515
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    Polybutylenesuccinate-co-adipate(PBSA)およびPolycaprolactone(PCL)よりえられたエマルション接着剤の接着強化とブロッキング抑制効果とを検討した。接着強化剤として水分散性脂肪族ポリイソシアネートを添加したところ,生分解性に著しい変化はなく,エマルション皮膜は強靭化され,エマルションを用いてえられた加工品の接着は強化された。加工品はヒートシールされたセロファン,綿布接着片,および含浸紙であった。含浸紙引張り試験結果の解析より,それらの接着強化は被着体と接着剤層とを結ぶ比較的数少ない化学結合の生成によることを明らかにした。またPBSAエマルション添加によるEVAエマルションのブロッキング抵抗性改善を評価したところ,予想以上に有効な場合と期待効果の得られない場合の二つとなった。この差異の原因を表面自由エネルギーから検討し,前者では両原料エマルション皮膜から予想される平均値より遥かに離れポリエチレンに近い塗工表面が得えられていることを,後者ではEVAエマルション皮膜とほとんど変わらない塗工面となっていることを明らかにした。
研究論文
  • 中村 吉伸, 藤田 和也, 足立 学, 衣川 義人, 飯田 健郎, 佐々木 眞利子, 浦濱 圭彬
    2005 年 41 巻 12 号 p. 498-506
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
     ポリスチレンーポリイソプレンーポリスチレントリブロックコポリマーをベースポリマーとし,ポリイソプレンと相溶性の高い脂肪族炭化水素C5系タッキファイヤを加えたモデル粘着剤で,タッキファイヤによる相構造形成について検討した。タッキファイヤは60wt%まで加えた。180°ピール粘着力は,タッキファイヤ量に伴って向上したが,40wt%以上で上昇の程度がより著しくなり,加熱なしに十分な粘着力が得られ,感圧性が発現した。タッキファイヤはポリイソプレン相中に溶解するが,同時にタッキファイヤ相も形成し,濃度とともにその量が増加することがパルスNMRから分った。透過型電子顕微鏡観察から,ベースポリマーはポリイソプレン連続相中に,約20nmのポリスチレンドメインが分散していた。ポリイソプレン相中にタッキファイヤの明碓なドメインは観察されなかったが,不均一になっており,これがタッキファイヤ濃度にともなってより顕著になった。このことからタッキファイヤ相はnmオーダーの濃度揺らぎであることが分った。このタッキファイヤ相は,粘着剤の凝集力を向上させていると考えられる。
研究論文
  • 鄭 遇珠, 西川 宏, 奥見 慎祐, 水野 雄大, 伊東 大輔, 竹本 正
    2005 年 41 巻 12 号 p. 490-497
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
     エレクトロニクス実装分野に用いられているAg-epoxy系導電性接着剤の信頼性低下の原因を究明するため,電気抵抗及び接着強度測定用のサンプルを作製し,恒温恒湿と熱衝撃試験をそれぞれの条件下(0,250,500,750,1OOOh及びサイクル)で行った。熱衝撃試験では,材料それぞれの熱膨張により抵抗チップと導電性接着剤の界面でクラックができ,電気抵抗の上昇及び接着強度の低下をもたらした。そのクラックの発生は界面で小さなクラックができ,界面に沿い進展し,導電性接着剤の中に入っていく順に進行していくことが分かった。一方,恒温恒湿試験では界面でのクラックのみならず抵抗チップと導電性接着剤の界面に酸化膜が形成される可能性が高くなり,その酸化膜及び形成されたクラックが電気抵抗の上昇や接着強度の低下に影響を及ぼしたと判断された。 一方,銀粒子の含有量に従う信頼性変化は銀含有量が多いほど導電性接着剤の信頼性が低下した。
研究論文
  • 木本 正樹, 日置 亜也子, 西田 英夫, 榮川 昌宏, 有本 邦夫, 池田 能幸, 佐々木 宗夫
    2005 年 41 巻 12 号 p. 483-489
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
     カルボキシル基含有アクリルシリコーン(CAS)溶液中において,テトラエトキシシラン(TEOS)および撥水性シランカップリング剤(SCA)を添加することによってシリカ微粒子を合成した。得られた微粒子の形態およびシリカ分散液をガラス基板に塗布した場合の表面撥水性におよぼす溶媒の種類,CAS,SCA添加量の影響について検討した。CAS溶液中において得られたシリカ微粒子は条件によってはCASを添加しない溶液中で得られるシリカ粒子(400-500nm)よりも成長が抑制され(80-100nm),CASとともにSCAを共存させると,粒子径はCASのみを用いた場合よりもさらに小さくなった(20-100nm)。XPS測定の結果からCAS,SCAを用いた場合にはC/Siのピーク比が増大し,シリコーンブロックの一部および撥水性基は粒子表面に偏在しているものと考えられる。シリカ分散コロイド溶液をガラス基板に塗布した場合,CAS-シリカ系ではCAS単独の接触角よりも高い値を示し,CAS,SCAの併用によって接触角は150°以上の値を示した。シリカ微粒子合成の際に,CAS中のカルボキシル基がシリカ前駆体と相互作用して,CASがシリカ微粒子に一部組み込まれたものと考えられる。さらにSCAを併用することで,トリメチルシリル基などが表面に導入されたものと考えられる。CAS,トリメチルシリル基などの導入によって,粒子成長が阻害されて粒子径は抑制されるとともに,接触角が向上したものと考えられる。シリコーンブロック,撥水性基による疎水性表面とシリカ微粒子の凹凸との組み合せによって,接触角150°以上の超撥水表面を調製することができた。
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