アクリル酸エステル共重合体/紫外線(UV)硬化型モノマー/エポキシ樹脂から成るUV-熱反応型配合物に関して,加熱硬化後の銅箔への接着性能の変化を調べた。その結果,400mJ/cm2以内のUV照射光麓下で,かつUV硬化型モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)の添加量がその他の配合物100gに対して,10g以内で作製した試料は,加熱硬化後に銅箔に対して6N/I0mm以上の良好な接着性を発現した。接着不良の場合でも100℃における貯蔵弾性率は4×104Pa以下で,銅箔への濡れ性を阻害する領域には達していなかった。一方,配合物接着界面について取り出し角度45°におけるXPS(X-ray Photoelectron Spectrometry)測定では,UV未照射時の炭素原子に対する酸素原子の割合O/C=0.36に対して,780mJ/cm2のUV照射後には0.27と酸素原子が減少し炭素原子が増大していた。これは,接着強度がUV未照射の6.25N/10mmから3.13N/10mmへと低下したことと対応している。DPHAの添加量を増大させたときも,酸紫原子の減少と接着強度の極端な低下が認められた。これらの結果から,加熱硬化後の銅箔に対する接着強度変化は,UV硬化反応に伴う配合物界面の酸素原子量変化が主因と結論した。
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