日本接着学会誌
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41 巻, 9 号
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総説
総説
技術論文
  • 土井 幸夫, 石井 明, 市川 靖, 沖野 義郎
    2005 年 41 巻 9 号 p. 353-359
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
    生分解性ポリエステルエマルションの作製を三つの乳化装置を用いて検討した。一つはタービン一本とブレード二本を持ち,それらの自転,公転により非常な高粘度系をも均一撹枠出来るミキサー(プラネタリー型ミキサーと略記),二つはラモンドユニットの作る細間隙へ乳化される混合物を高圧で通過,分散せしめるホモジナイザー(ラモンドミキサーと略記),そして三つは同方向に回転する二本のスクリュウを持つ押出機である。ポリカプロラクトンはトルエンに溶解してプラネタリー型ミキサーおよびラモンドミキサーに使用され,ポリブチレンサクシネートーCO-アジペートはペレットとして押出機に供給された。部分鹸化ポリビニルアルコールが乳化剤として用いられた。目的は粒子径1μm,耐水性皮膜を与えるエマルションの円滑な乳化技術確立であり,次の結果がえられた。1.円滑な乳化技術とは系内の均一撹枠を最後まで維持するために特別面倒な操作を必要としないことを意味し,この目標は3種類全ての乳化装置で実現された。2.粒子径1μmと耐水性皮膜は高分子エマルション接着剤にとっての最低必要性能であり,前者はブラネタリー型ミキサーとラモンドミキサーで実現されたが,押出機では到達最小粒子径が2μmより小さくはならなかった。後者の耐水性皮膜は押出機で得られたが,他の二つの乳化装置では水に再分散する皮膜となった。3.粒子径と乳化パラメーターとの間の関係が定量的に見出され,ラモンドミキサーでは流速の影響の,押出機では原料供給速度の影響の大きいことなどが把握されたので,それらを援用すれば当初目標の達成は可能と期待される。
研究論文
  • 岸 肇, 藤田 晶, 宮崎 光, 松田 聡, 村上 惇
    2005 年 41 巻 9 号 p. 344-352
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
    木材とフェノール類との加溶媒分解反応により得られる木材液化物を前駆体とし,フェノール性水酸基をグリシジルエーテル化する反応経路により,木質バイオマスを主原料とする液状エポキシ系樹脂を合成した。反応溶媒にフェノールを用いた液化木材を前駆体として合成した木材エポキシ樹脂からは,充分な架橋構造を有する樹脂硬化物を得ることはできなかった。一方,フェノール性水酸基を2個有するレゾルシノールとの反応で得た液化木材を前駆体に合成した木材エポキシ樹脂からは,市販ビスフェノールA型エポキシ樹脂と同等以上の室温曲げ弾性率 (3.2GPa),曲げ強度 (150~180MPa)を発現する高強度硬化樹脂を得ることができた。液化木材中の水酸基含有量は原料組成が同一の場合でも液化条件(温度・時間)により変化する。液化木材中のフェノール性水酸基の確保は,それを前駆体に合成される木材エポキシ樹脂のエポキシ基含有量を支配し,結果としての樹脂硬化物の架橋密度や力学特性を決定する重要因子であることがわかった。
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